現状をベースにしてカイゼンのネタを探る4つの視点

現状をベースにしてカイゼンのネタを探る4つの視点

現状に対し4つの視点で、手順を踏んで絨毯爆撃のようにしらみつぶしで見えてくるカイゼンのネタもある、という話です。

1.現場の望ましい状態を決めるのは意外とたいへん

あらゆる活動、取り組みにおいて「現状」把握することが欠かせません。

現状が標準の状態ならば、現状と望ましい状態にギャップが存在します。

また、現状が悪い状態ならば、現状と標準の状態にギャップが存在します。

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こうしたギャップを埋めることが課題の達成であり、問題の解決です。

標準の状態は既に、定量的にも、定性的にも標準書として明文化されています。

ですから、現状が悪い状態であるならば、標準の状態との差は把握しやすい。標準書と現状を比較して、落ち度の箇所を復帰させればイイので。

(ケース2の場合)

 

一方で、現状が標準の状態であるならば、望ましい状態との差異に注目します。

望ましい状態が、設定済であるならば、現状との差を評価することは可能です。

(ケース1の場合)

 

しかしながら、望ましい状態を描くのは難しいです。意識して考えねば、そう簡単には決まらない。

一般的に、現場の作業内容は長年積み重ねてきた経験の結果、確立された場合が多い。

ですから、その作業を、長年、疑うことなくやり続けて場合が多いです。

 

このような生産工程や現場作業を対象にして、望ましい状態を描くのは意外とたいへん。

現状を疑っていないわけですから。なかなかアイデアが出てこないものです。

そこで、現状に対して4つの視点を当てはめて、カイゼンの方向性を検討します。

 

2.カイゼンの方向性を検討する4つの視点

スキルとして、カイゼンの方向性を検討する4つの視点があります。

4つの視点で現状を眺めて、カイゼンの切り口を見つけます。

 

1)そもそも、それをなくせないか

2)それをなにかといっしょにできないか

3)それをなにかと入れ替えたり、その順序を変えられないか

4)それを簡単にできないか

 

この4つの視点を当てはめ、得られる答えからカイゼンのヒントを導きます。

カイゼンで生産工程に着目した時には工程分析で現状を把握します。

工程分析では加工、運搬、停滞、検査の4つの工程を製品目線と作業者目線で眺めます。

 

工程分析で整理された現状の工程ひとつひとつに、カイゼンの4つの視点を当てはめて、そこからカイゼンのヒントを探ります。

ココでは、各工程にひたすら順番に、4つの視点を当てはめる作業を行う。

具体的には、下記のような表のイメージでしらみつぶしで各工程でのカイゼンネタを探ります。

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マトリックスを作成し、順番に地道にチェックしていきます。

ひらめきでパッと単発で浮かぶアイデアもありますが、手順を踏んで絨毯爆撃のようにしらみつぶしによって見えてくるアイデアもあります。

こうした手法も使ってカイゼンのネタを探ります。

まとめ

現状に対し4つの視点で、手順を踏んで絨毯爆撃のようにしらみつぶしで見えてくるカイゼンのネタもある。

出典:株式会社 工場経営研究所 伊藤哉技術士事務所

 


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)