現場での雑談は大切です【1】

現場での雑談は大切です【1】

私はほぼ毎日、全国のお客様の会社に伺って改善の指導をするのですが、会社にいる時間の半分は現場にいます。

そこで何をしているかというと、社長をはじめ皆さんと一緒に現場を見て問題を発見したり、その場で改善を実行したりが半分。

そしてそれと同じくらい時間をかけているのは実際に改善が実行された職場に行って、実行された方とその改善を見ながらいろいろなお話を聞いたり意見を述べたりといった会話をすることです。

 

明確なテーマに基づいた“雑談”です。

その時に私が一番聞きたいのは苦労話です。

コンサルタントに対して社長もいるところで自分がやった改善を話すとなるとどうしても成功談になりがちですが、一回でさっと結果が出るほど簡単な改善ではないことは私には分かります。

 

もし自分でやったらどうなるか…などを想像すればすぐ分かることです(私自身が不器用なので、こういうことには鋭いのです)。

きっと何回も失敗したり、一人ではできないので誰かに助けを頼んだりといろいろなご苦労があったに違いない!

 

柿内 :この改善、すごいですよね。でも結構ご苦労された感じします。

Aさん:私一人でやったわけではありません。Bさんにも手伝ってもらってます。

柿内: そうなんだ!じゃぁBさんにも来てもらおう。

(Bさん、呼ばれて慌てて来る)

柿内:Bさん、Aさんの改善、手伝ってくれてありがとうございました。これすごいですよね。ちょっと苦労話を聞かせてください。

Bさん:実はこの治具を作る工具が無くて、別の部署に借りたんです。

社長:エーッ、そうなんだ! 必要な工具はすぐ買ってください。そんな大切なことで遠慮しちゃだめだよ。

 

こんな感じで会話が進みます。

そしていろいろな見えないところにある問題点がぞろぞろ出てきて更なる解決に向かいます。

“雑談”というと何か不謹慎なイメージがあって“仕事中にしちゃだめでしょ”的な雰囲気を感じる方もおられると思いますが、実は改善においては貴重な手段です。

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◎現場改善No.1コンサルタント。大手自動車メーカーにて、一貫して生産効率改善(IE)を担当し、その改善手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学。帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導、抜群の成績をあげる。 ◎現在、 柿内幸夫技術士事務所の所長 として、自動車、家電、食品、IT関連メーカーなどを指導。「現場で、全社員が一緒に改善する実勢指導」という独自のノウハウで、社長・工場長はもとより、現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日である。 ◎1951年東京生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業、スタンフォード大学修士課程修了、慶応大学にて工学博士号取得。 ◎著書「最強のモノづくり」(御沓佳美 共著)「“KZ法”工場改善」「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「5Sでつくる高収益工場ビデオ」「図解でわかる生産の実務 現場改善」「現場改善入門」「現場の問題解決マニュアル」他多数。平成16年日本経営工学会経営システム賞受賞。工学博士、技術士(経営工学)。