独自技術の目と脳で物流に新時代を築く KYOTO ROBOTICS
産業用ロボットでの物流の作業は、「多品種でティーチングに工数がかかる」や「認識をさせるモノの登録に工数がかかる」「作業の速度が遅い」などの問題がネックになっております。
ところが、KYOTO ROBOTICS(滋賀本社:滋賀県草津市、東京本社:東京都江東区)においては、他社を圧倒する独自開発のビジョンセンサーとロボット動作計画などでこの問題が解消し、お客様を満足させてきた実績があります。
私は、今後この会社が物流に新時代を築くと確信しております。この会社の徐社長にインタビューをしました。
Q.御社の強みは?
市場ニーズを的確に理解し、技術的に解決可能かどうかを判断するマーケティング企画力と、技術と製品を開発する力が強みであり、その中でも特に長年の知見を持つ3次元ビジョンの技術力は圧倒的です。
ばら積みピッキング用の3次元ロボットビジョンセンサ「TVS」、段ボール箱のデパレタイジングロボットコントローラと、ハンド搭載小型軽量3次元カメラ「YCAM3D」を販売しています。
いずれも当社が強みとする3次元計測・3次元認識・ロボット制御技術をベースにした製品です。3次元計測は位相シフト方式を採用しており、高精度・高品質を有しております。
Q.御社のターゲットは?
FA向けの3次元ロボットビジョンと物流向けの知能ピッキングロボットの2つの事業を進めています。物流向けのピッキングロボットでは、特に重い箱のデパレタイジングとパレタイジングに力を入れています。
FA向けでは、従来のばら積みピッキングのための3次元ロボットビジョンセンサに加えて、弊社の出資先であるYOODSが開発したYCAM3Dのピッキングだけではなく、溶接・組立・加工等の広いロボット用途を開拓しようと考えています。
Q.苦労されている点や弱点は?
顧客の要求とはまだ距離があるところは常に悩みの種です。そのために、企画・開発・販売・管理のあらゆる面で改善を図っていく必要があります。
目を持った知能ロボットはメカ・電気・制御・情報処理・光学・数学・アルゴリズムなど広範囲の技術をカバーしており、全てを一社で担うことは不可能です。他社との連携によって乗り越えようと考えております。
例えば、YCAM3Dをアーク溶接に使おうとすると、オフラインティーチングソフトとの連携が不可欠であり、富士ロボットさんの「RobotWorks」が非常に魅力的です。具体的には、RobotWorksにおいてソフトウェア上でまず対象物のCADモデルに対してアーク溶接の軌跡を定義します。
次は、YCAM3Dで対象物の実際の3次元形状を計測し、一つの座標系に統合し、全方位の3次元点群モデルを作成します。更に、この3次元点群モデルとCADモデルとをマッチングすることで両者の座標系の変換を行います。
最後にCADモデルと実物の間に微妙な変形がある場合、3次元点群を処理することによりCADモデル上で定義された軌跡を実物に合わせて微修正もします。これによって、①固定治具を不要とすることができる ②実物に合わせてアーク溶接の軌跡を微修正することができる、という2つの大きなメリットが得られます。
Q.どういう点でやりがいを感じますか?
工場におけるロボット化は40年前からずっと成長し続けてきました。しかし、物流倉庫におけるロボット化はまだほぼゼロの状態です。一方、働き手が見つからない状態は工場よりも倉庫が深刻です。ここに、私たちが開発したピッキングロボットが大量に導入されるのはまさに社会問題の解決であり、非常にやりがいを感じています。
なぜ工場のロボット化ができて、倉庫のロボット化ができなかったかというと、一番大きな違いは、工場のラインに来るものはほぼ単一品種で決まっていて、倉庫には何千何万品種が来ることにあります。
単一品種であればメカによる位置決めができるので、目がなくてもティーチングで覚えた動作で完結しますが、倉庫の多品種については、メカによる位置決めができないため、3次元の目は不可欠です。そして、多品種に対してロボットペンダントを使ったティーチングも現実的ではありません。
また、3次元の目を使っても、それぞれの品種に合わせてパラメータを調整することも、それぞれの品種の3次元モデルやマスタ情報を登録することも膨大な工数がかかるので、実用的ではありません。
当社は長年3次元の目を研究してきており、これらの問題を一気に解決する、マスタレス・ティーチレスのデパレタイジング・パレタイジングロボットを開発しています。これによって、物流倉庫で機械装置化という革命を起こせるのではないかと考えています。非常にやりがいのある仕事です。
また、「YCAM3D」は世界で初めてのロボットハンド搭載の小型軽量3次元カメラであり、歩くピッキングロボット・溶接・加工・組立などで従来夢だったアプリケーションが実現できるようになるので、非常にやりがいを感じています。