海外縫製工場は職員の名を呼ぶのも大変です|ラオス縫製工場の日常
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いきなりですが、つぎの日本語を読んでみてください。
信号(しんごう)
新米(しんまい)
信任(しんにん)
3つの単語の中にそれぞれ「ん」の音が入っています。
日本人にとって上の3つの単語の「ん」はすべて同じ音です。しかし、ラオス人に取ったら全部違う音なんです。
どういうことかというと……
信号(しんごう)と言うときの「ん」は、唇が開いた状態で、なおかつ舌が口の中のどこにもついていません。ラオス語では「ng」の音になります。
新米(しんまい)と言うときの「ん」は、唇が閉じています。ラオス語では「m」の音になります。
信任(しんにん)と言うときの「ん」は、唇が開いた状態で、上の歯の裏に舌がついています。ラオス語では「n」の音になります。
このように日本語の「ん」という音を、ラオス語では「ng」「m」「n」の音として明確に区別します。
よく外国語を習うときによくあることですが、日本語で考えると違いがほとんどない音について、「多少、発音が違っても通じるよ!」と考えてしまいがちですが、ラオス人にとっては「ng」「m」「n」の音はまったく違う音なので、適当に発音するとまったく通じません。
ここで話は、この記事タイトルの「海外縫製工場では職員の名を呼ぶのも大変です」です。
例えば、職員に「ソン」さんがいたとすると、「song」「som」「son」をしっかり区別しないと、「ソンさんはどこ?」とラオス人職員に聞いても、ラオス人は誰のことをさしているか分かりません。
しかも、「ポン」さん、「ペン」さん、「サン」さん、「パーン」さんなど、これらの区別をしっかりつけなくては通じない、名前の職員の名前がとても多いです。
さらに自分で話すときは、唇の開け閉めと下の位置に気をつけて話せば良いのですが、「聞く」ときはさらに大変です。
「m」の音は意識すれば、ほかの「n」と「ng」の音と区別することは比較的簡単です。
しかし「n」と「ng」の音の区別は、日本人にはとてつもなく難しいです。私も聞き取り、区別することができません。普通の単語であれば、文脈から「n」か「ng」を判断したりしますが、人の名前は文脈で判断できないので大変です。
といいつつ、新しく入ってきた職員とは、最初は意志の疎通がうまくいかないこともありますが、少しずつ会話を重ねるうちに「日本人の話すラオス語」を理解してくれて意志の疎通ができるようになってきます。
ラオス人職員も、日本人はこの音を発するのが苦手なんだなと分かってきれくれます。
最後に、ラオスでは、あだ名で呼び合うことも多いですので、ラオス人職員のあだ名を紹介します。
ノイ
小さいの意味。でも、185cmくらいでかなりガタイの良い「ノイ」さんもいます。きっと、小さい頃は小さくて可愛かったのでしょう。
ニャイ
大きいの意味。もちろん150cmくらいしかない「ニャイ」さんもいます。
チョイ
痩せているの意味。
トゥイ
太っているの意味。日本人なら、「太っている」なんてあだ名は嫌ですが、ラオス人はよくいます。細身の「トゥイ」さんもいます。
ピヤオ
曲がっているの意味。
リン
響きが可愛らしいです。
ダム
黒の意味。色を名前に使うこともあります。
ノック
鳥の意味。動物をあだ名にすることもあります。
メオ
猫の意味。
こんな感じで、ラオス人のあだ名は、つけられていきます。
大体、小さい頃にあだ名がつけられるので、大人になるとそのあだ名がその人を表さないことも多いです。