汎用旋盤ブレーキオイル交換(失敗編)

汎用旋盤ブレーキオイル交換(失敗編)

こんにちは。
さて、前回の続きの失敗編です。
 
失敗の内容は、ブレーキパッドをピストンの「へそ」に入れる時、きちんと入っていないのに入っていると思い込みブレーキを踏んでしまいました。ピストンとパットの端面が密着しておらず、パットのはめ込み部分をピストンの「へそ」で押しつぶしてしまいました。
 
パットの方は鉄の板をパットから外し、へこんだ部分を叩いてまっすぐに伸ばし接着剤で固定して直し、それほど時間は掛からなかったのですが、ピストンの「へそ」が曲がってしまい、ブレーキ全バラシとなってしまいました。ブレーキシリンダーだけ取り外すことが出来ればそこだけですんだのですが、固定してある六角ボルトの対辺が10.5mmなんです。
六角ボルト
前回はスパナを作ってばらしました。機械に取り付けたままばらすとなると、ボックスレンチが必要となりますが、ミリ規格では10mmの次が11mm。インチ規格では3/8(9.5mm)の次が7/16(11.1mm)となり規格外。「修理するな」と言うことなのでしょうか?わざわざこんな寸法の六角ボルトにして・・・
 
しぶしぶマスターシリンダーとの配管をはずして、機械から取り外し、ベースとブレーキキャリパーをはずして、修理する方のシレンダーを外しました。「へそ」が曲がってしまったピストンを工夫しながら丁寧に元の状態に戻しました。曲がってると言っても実際は、素はナベ頭の小ねじのような頭になっていたものがつぶれてしまった状態で大変でした。しかも材質はアルミです。あとはご想像にお任せします(笑)
 
と言うことで、パットをきちんと入れてなかったことが原因で、半日ほど余分に掛かってしまいました。ブレーキキャリパーやベースを外すと芯出しに手間が掛かります。この機械は特にパットの引きずり対策として、ブレーキディスクをキャリパーの真中ではなく、少しずらしてます。ばらす前にディスク板との隙間を測って紙に書いておき(忘れる為)、組み立てました。その後、他の二台の機械と同じようにブレーキオイルの交換をしました。
旧MS-850
試運転し、オイルの漏れがないことを確認し作業終了しました。少しの注意力の欠如で、ブレーキオイルの交換がブレーキ全ばらしになってしまいました。機械三台分交換の作業時間約一日、ブレーキオイル使用量一リットル弱。機械のメンテナンスは必要ですね。これでまたもう少し調子よく動いて貰えると思います。
 
~基本を大切にした技術伝承~汎用旋盤職人養成


1963年大阪生まれ。西尾鉄工所代表。旋盤師、伝統技術継承者◎祖父の代から80年続く大阪八尾市の町工場の三代目。「職人道」を極めた先代のもとで、13才から弟子入りし、昔ながらの職人技を叩き込まれ、家業を一人前にこなした。工業高校卒業後、中堅工作機械メーカーに就職。工作機械(機械部品を産み出す母なる機械。マザーマシンとも呼ばれる)の構造を隈なく学び、23才で独立。最先端コンピュータで制御された「NC旋盤」に対し、職人の「技」と「勘」が頼りの「汎用旋盤」(職人の手で動かす旋盤)をこよなく愛し、現在に至るまで、その加工にこだわり続けてきた。数少ない伝統技術継承者の一人。◎若い世代の人材不足、技術伝承に危機感を持ち、2016年「汎用旋盤職人養成講座」をスタート。教材用に独自開発した「汎用フライス盤」は、設計、加工、組立・調整をすべてひとりでやり遂げ、自身の総合技術力の賜物となった。最近、営業下手な職人の殻を破り、SNSを駆使して「基礎の手技」の重要性を次世代へと訴える。また、異業種の職人を対象に、「いぶし銀の会」を立ち上げ、オリジナル製品の企画、開発など「未来の職人像」を探っている。コンピューター依存が加速する製造業の未来を受け入れつつも、「機械の前に人間ありき」と、代々受け継がれてきた職人の技と精神性の伝承に力を注いでいる。◎2014年「八尾市ものづくり達人懸賞」受賞、2015年日刊工業新聞「マイスターに聞く」掲載、「なにわの名工」受賞◎西尾鉄工所ホームページhttps://nishio-tekkousho.jimdo.com/ 西尾鉄工所技術伝承 https://nishio-tekkousyo.jimdo.com/