機械加工工程の改善着手|元トヨタマンの目

機械加工工程の改善着手|元トヨタマンの目

まず手始めに、KGXという代表機種の部品で、W3とW4という2台の旋盤での部品の1個流しを考える。

代表機種の部品で、その2台で製作する点数は12点。

 

<1点ごとの作業>
①「製品の写真」「図面」「過去に計測した加工時間」を準備

②一切削ごとに加工時間を数回計測して平均値を算出およびその切削中の写真を撮影

③当該部品の段取替時間も計測(別途ビデオ撮りする)

④当該部品の刃具研磨時間も計測

⑤上記のデータをすべて壁に張り出す

⑥現場、技術者とで内容についての精査を実施

 

<12点できたら>
1直、2直の時間一覧表を作成し、その中へ加工計画を入れていく

 

<そのポイント>
①長い加工には、リミットスイッチや光電管を工夫して、加工が終ったら自動的に機械が停止し、あんどんやライトでそれを作業者に知らせることを考える。

②作業者はその間、機械が加工しているのをジッと見ている監視をやめ、他の機械の取付け・取り外し作業や刃具研磨や段取替え作業のうちの外段取を行なうようにする。

③このようにして一人の作業者が機械の多台持ち等ができないかを検討する。

 

<1点の計測が終った>
中国人のK君と私が行なった。

以前いっしょに改善活動をやってくれていたU.W.氏がまったく手伝ってくれなくなった。

しかしK君が、内容をきっちり把握してくれて、非常にきびきびと精力的に動いてくれて、とてもはかどった。

 

<感想>
組立てラインは一応、形になってきた。

それにより問題点が見えるようになってきた。

その問題点は機械加工工程などの前工程で対策を打たなければならないものばかりだ。

そのためにも機械加工の内容を精査し、みんなで議論できるタタキ台を作らなければならない。

その第一歩が進み出せた。

これを標準作業票に発展させるつもりだ。

そうしないと、作業者により加工順序が違う部品も見受けられるからだ。

ラミネートなりにして加工中はそれを掲示するようにしたい。

なにせ忙しい忙しいで現場任せ、いや加工者任せになっている。

このような状態では改善などはできない。

 

それにしても本当にいい機会なので、U.W.氏の教育という観点からも計測作業に参加してもらいたいものだ。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。