標準作業票|元トヨタマンの目

標準作業票|元トヨタマンの目

トヨタは1ヶ月単位で生産量を変動させる。

逆に言うと、1ヶ月間は日当り生産台数は同じだ。

したがって、1ヶ月間は同じ要員を配置しておけばいい。

 

例えば翌月、生産量が半減すれば、半分の要員を他ライン(場合によっては他工場)へ応援にいってもらい、残った半分の要員で生産することになる。

逆に翌月、生産量が2倍になれば、今月の2倍の要員を応援に来てもらうことになる。

要員数が変化する以上、標準作業票も毎月書き替えなければならなくなる。

 

実際に、トヨタは標準作業票を毎月書き替えている。そうしなければ、多くの素人に作業を教えることはできない。

トヨタを辞めて世間に出てみると、生産の変動で人を出し入れしているような会社はどこにもない。

また一種類でいい標準作業票すら作ってない会社ばかりだ。

 

要員が固定的に配置されているため、彼らの習熟に頼っており必要ないのだ。

そのうち作業者が慣れゆえに勝手なことをしだす。管理監督者がその内容すら分からなくなってしまう。

トヨタは標準作業票を監督者(班長・組長)自らが作る。その標準作業票は秒単位に細かなもので、安全・品質等のすべての項目を盛り込む。

 

そして監督者自らが実演して教え込む。そして常に巡廻監視して必ず守らせる。そのことこそが、安全・品質を担保するからだ。

そして標準作業票をベースとして現場を観察し、ムダな動きなどを見つけ出し改善を進める。

この場合、絶対に「ムダを排除」するということを前提にしなければならない。そうしなければすぐ労働強化になってしまうからだ。

 

改善ができれば、すぐに標準作業票を書き替える。

そしてまた次の改善に進む、というようなことを繰り返すのだ。

 

元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。