日本精工、ヒューマノイド向け高バックドライバビリティアクチュエータ開発 110N・m/kg・4300N/kg
この記事の内容をまとめると…
- ロボティクス領域に向けたロータリーアクチュエータとリニアアクチュエータの開発
- 小型・軽量・高バックドライバビリティという特長
- 2025国際ロボット展への参考出展と2028年の市場投入計画
日本精工株式会社は、ロボティクス領域に向けたアクチュエータとして、ロータリーアクチュエータとリニアアクチュエータを開発した。いずれも小型・軽量・高バックドライバビリティという特長を持ち、ロボットのしなやかな動きの実現に貢献するものだ。
アクチュエータ詳細
・発表概要
日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK)は、ロボティクス領域に向けたアクチュエータとして、ロータリーアクチュエータとリニアアクチュエータを開発した。いずれも小型・軽量・高バックドライバビリティという特長を持ち、ロボットのしなやかな動きの実現に貢献する。NSKは本開発品を2025国際ロボット展に参考出展し、顧客ニーズとのマッチングを図りながら2028年の市場投入を計画している。またNSKは、ロボティクス領域においてグローバルに事業を展開し、2036年には主要事業としての柱に成長するよう事業拡大を図っていくとしている。
・開発の背景
NSKはこれまでも、産業用ロボット分野において軸受や直動製品を中心に多くの実績を積み重ねてきた。これらの技術をベースに、今後の成長が期待されるヒューマノイドロボット領域においても、さらなる技術開発に取り組んでいる。
ヒューマノイドロボットには、人間と同様の体格・動作が求められており、産業用ロボットに要求される高精度、高信頼性といった性能要件に加えて「小型・軽量・高バックドライバビリティ」なアクチュエータが必要とされている。
・開発品の構成
NSKの軸受・直動製品技術とメカトロ技術を融合し、小型化・軽量化・高バックドライバビリティを実現した。また、電源ソリューションに強みを持つデルタグループ(以下デルタ電子)との協業により、コンパクトな内蔵モータおよびドライバを搭載した。ソフトウェア制御によりロボット全体のスマート化にも貢献する。
・開発品の特長
ヒューマノイドロボットの関節部に向けたロータリーアクチュエータ、腕部・脚部に向けてはリニアアクチュエータを今後ラインアップ化していく。いずれのアクチュエータもデルタ電子との協業により、ドライバを内蔵した機電一体構造による小型化を実現している。
・ロータリーアクチュエータ(概要)
・小型軽量タイプのアクチュエータ(トルク重量比約110N・m/kg)
・配線や配管の自由度を高める中空穴を確保
・負荷トルクを推定することでバックドライバビリティを改善
・リニアアクチュエータ(概要)
・高バックドライバビリティを実現するボールねじの採用
・高密度高放熱レイアウトによる小型軽量化の実現(最大推力重量比約4300N/kg)
・開発品の効果
本開発品は、以下を通じてヒューマノイドロボットに求められる「しなやかな動き」の実現に貢献する。
・設計自由度の向上
小型・軽量化により、ロボットの関節や構造設計の柔軟性が向上し、より人間に近い形状・動作の再現に貢献する。
・省電力・長時間稼働
NSKの軸受・ボールねじの適用により高効率を実現し、軽量化によりロボット全体の重量を抑制することでバッテリー駆動時間の延長にも貢献する。製造時の材料使用量の削減に加えて、ロボット全体の消費電力を低減することで、ライフサイクル全体でのCO₂排出量削減に貢献する。
・高い安全性と柔軟性
高バックドライバビリティを実現したことにより、外力に対するしなやかな応答に貢献し、人との協働や接触を伴う動作における安全性向上に貢献する。
・スマート化への対応
デルタ電子との協業により、高速通信(EtherCAT)やソフトウェア制御に対応し、ロボット全体のスマート化・遠隔制御など、次世代ロボティクスにも対応する。
どのように活用する?
・適用部位の想定
ヒューマノイドロボットの関節部に向けたロータリーアクチュエータ、腕部・脚部に向けてはリニアアクチュエータを今後ラインアップ化していく。
・実機展示とマッチング
本開発品は、2025年12月に開催される「2025国際ロボット展」への出展を予定しており、実機展示を通じて顧客ニーズとのマッチングを図り、2028年の市場投入を計画している。
・サンプル提供
市場投入に先立って、顧客との共同検証や試作評価を目的としたサンプル提供も順次進めていく予定である。
仕様・スペック
| ロータリーアクチュエータ | ・トルク重量比:約110N・m/kg ・中空穴の確保 ・負荷トルク推定によるバックドライバビリティ改善 |
|---|---|
| リニアアクチュエータ | ・ボールねじの採用 ・最大推力重量比:約4300N/kg |
| 通信・制御 | ・高速通信(EtherCAT)への対応 ・ソフトウェア制御への対応 |
| 注記 | ・バックドライバビリティ:ロボットの関節やアクチュエータの出力軸に外力を加えた際の駆動系の動作性の高さ ・EtherCAT(Ethernet for Control Automation Technology):ドイツBeckhoff Automation GmbHの登録商標・特許技術 |
その他
・今後の予定
アクチュエータに使われる軸受・ボールねじについてのラインアップ拡充を進めていく。
・NSKについて
NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきた。1960年代初頭から海外に進出し、現在では約30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、またボールねじ、電動パワーステアリングなどにおいても世界をリードしている。
企業理念として、MOTION & CONTROL™を通じて円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めることを掲げている。2026年に向けてNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げ、世の中の期待に応える価値を協創し、社会への貢献と企業の発展の両立を目指していくとしている。
・デルタグループについて
デルタグループは世界有数のスイッチング電源、冷却ファンメーカーであり、またパワーマネジメント、電子部品、ディスプレイ、FA、ネットワークから再生可能エネルギーソリューションまで広範に渡る機器とサービスを提供している。1971年に台湾で創業し、現在では世界各地に営業拠点と製造拠点を擁している。ホームページ:http://www.delta-japan.jp/