日本の製造業のデジタル化の鍵を握るのは……女性!? ランスタッド調査

日本の製造業のデジタル化の鍵を握るのは……女性!? ランスタッド調査

世界的な総合人材サービス会社ランスタッドが「職場におけるデジタル化」をテーマに行った調査によると、日本は「デジタル戦略を持つべき」「すでにデジタル戦略を取り入れている」の回答が世界最下位。

さらに、これを男女で比較した結果、特に女性のデジタル戦略への重要性の意識が低く、かつ自らの勤務先でデジタル戦略の導入を実感していないことが分かった。

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同社は、四半期毎に世界33の国と地域の18~65歳を対象に、労働者意識調査「ランスタッド・ワークモニター」を実施している。

2016年第4四半期には、「職場におけるデジタル化」に関する調査を実施。

今回は、その中から職場でデジタル戦略を取り入れる重要性、更に男女間での意識の違いについてグローバルと日本の結果を比較しながら発表した。

調査結果 概要

「いかなる企業も、 デジタル戦略を持つべき」「勤務先ではデジタル戦略を取り入れている」という回答について、 共に日本は世界最下位レベル

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「将来の雇用を維持するため、自分にはデジタルスキルの習得が必要である」という問いに対し、グローバル平均と日本平均共に6割以上の回答者が賛成。

一方、「いかなる企業も、デジタル戦略を持つべき」と回答した日本人は約65.7%で、これは世界最下位。グローバル平均の83.8%と大きな乖離があった。

さらに、「私の勤務先では、デジタル戦略を取り入れている」と回答した日本人は45.9%で、グローバル平均の59.5%より13.6%も低く、33の調査対象国と地域のなかで最下位より2番目。

 

昨今のデジタル化に応じ、働き手個人のスキル習得への意思は日本とグローバル共に総じて高い反面、企業のデジタル戦略に対する働き手の意識は、日本とグローバルで差があることが明らかになった。

日本の男女で比較すると、 女性は企業のデジタル戦略を重要視していない傾向が明らかに

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こうした結果を日本の男女で比較したとき、企業のデジタル戦略に対して意識の違いがあることも明らかになった。

「自分にはデジタルスキルの習得が必要である」という設問については男女間で大きな乖離はなかったが、「いかなる企業も、デジタル戦略を持つべき」に賛成した日本人男性は73.0%だったのに対し、女性は57.7%で、15.3%もの違いがあった。

 また、「私の勤務先では、デジタル戦略を取り入れている」と回答した男性は51.7%に対し、女性は39.7%。特に女性は企業のデジタル戦略の重要性への意識が低く、かつ自身の勤務先におけるデジタル戦略の導入を未だ実感していないことが明らかになった。

ランスタッド株式会社執行役員兼IT本部長高橋平のコメント

日本は全人口に対する65歳以上の割合が25%を上回る超少子高齢化社会に突入しており、今後も労働力不足の問題は更に深刻化すると考えられます。

この問題を緩和する糸口の一つがテクノロジーの活用です。

例えば、日本政府が現在取り組んでいる「働き方改革」では、テクノロジーを活用し、時間と場所にとらわれない柔軟な働き方であるテレワークの重要性が議論されています。

 

しかし総務省が発表したICT(情報通信技術)と雇用や働き方に関する資料では、日本で「テレワークを導入している」と回答した企業は16.2%だったのに対し、「導入していないし、具体的な予定もない」と回答したのは80.4%で、国内企業のデジタル戦略に対する意識の低さが露呈されました。

また、ランスタッドが実施した今回の調査では、特に女性が「勤務先のデジタル戦略を実感していない」、更に「その重要性をあまり感じていない」ことが明らかになりました。

しかし、厚労省の女性活躍推進に関する調査によると、第一子出産時に6割の女性労働者が離職し、その内の3割が育児と業務の両立の難しさを理由に断念したことが分かっています。

 

テレワークなど、テクノロジーによる柔軟な働き方の導入が進んでいないことが、日本女性のテクノロジーに対する意識の低さに起因しているのかもしれません。

日本企業でのデジタル戦略を促進するためには、最新の技術力を追いかけるだけではなく、企業側も働く側も、テクノロジーが人間の仕事を奪っていくという後向きな心理を払拭していくことや、いかに働きやすい環境をテクノロジーの活用を通して実現するのか、といったポジティブな側面にもっとスポットライトをあて、企業全体で推進していくことも重要です。

デジタル戦略の促進が、多様な働き方を通したワークライフバランスの実現や、離職の抑制、さらには超少子高齢化社会の日本人の働き方に変革をもたらす鍵となると信じています。

出典:【ランスタッド・ワークモニター】「職場におけるデジタル化の重要性」日本人の意識は最下位


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。