旋盤チャック分解

旋盤チャック分解

先日、汎用旋盤の三つ爪チャックに違和感がありましたので、ばらして清掃しました。

毎度のことなので、原因はわかってます。

内部に切り子などが入ってしまったのです。そうなるといろいろと悪さをしますので、早めに分解して清掃が良いです。

上の画像は裏のふたをはずしたところです。

アップにすると割と大きめな切り子が入り込んでました。

三つの爪の一番内側から入り込みます。遠心力で徐々に外径側に移って行くようです。

さて、表に向けて、爪を開け閉めしている、端面にねじの切った部品をばらしていきます。

ねじを傷つけないようにアルミをあてがい、少しずつハンマーで叩いて抜きした。

チャックの重要部品ですので丁寧に扱ったほうが良いと思います。

内径が基準となっていて、しっくりとはまってますので、同じアルミを三本用意し、その上にプレートのような物を置き、均一に抜くのがコツです。

全てを分解して並べてみました。案外部品点数少ないですね。

清掃してから組み立てます。これも叩くというより、まっすぐに保つといった要領で、あくまで丁寧にそして均一にしていきます。

組み立てる時は、それぞれの部品がスムーズに動くか確かめながら組み立てたほうが良いと思います。

不具合があればすぐに解りますので。今回使った工具は下の画像にあるこれだけです。

たいした道具は要りませんので、汎用旋盤をお使いの方は、一度ばらして清掃して見てはどうでしょうか。

自分の使っている機械や道具を整備すると、構造が理解でき、その上で使いますので、より適切な使い方ができると思います。

チャックの構造を理解して仕事を進めると、どうすれば上手に使えるかが解って来ると思います。

 

どうすれば振りが良く出るかや、どうすれば精度を保ちつつ長持ちするかが解ってくると思います。

私が使っているこの三つ爪チャックは、おそらく25年は使ってると思います。まだまだ大丈夫ですよ。

うちに来た人が、「よう振り出るな」と言ってくれるくらい、良く振りが出てくれます(良く振りが出ますねという意味です)。

 

調整と整備と使い方が決めてです。このチャックは荒引き用の旋盤に付けてますが、仕上げ用の旋盤に付けているチャックとは、調整と使い方は違います。機械やチャックの構造を理解した上での行動です。

そもそも機械を荒引き用と仕上げ用に分けている所の方が少ないと思います。

どんな機械でもそうですが、その機械に適した加工や加工方法また調整方法がありますね。

 

「バリバリ削れて高精度」や「大物が削れて高回転可能」などありえませんね。

うちの旋盤は、仕上げ用は仕上げに適した調整をし、荒引き用は荒引きに適した調整をしています。私の親しい方はそのセッティングの違いに驚かれるくらいです。

うちにある三台の汎用旋盤はそれぞれセッティングが違います。

 

チャックもそのうちの一つです。機械や道具はその構造を理解して使うと、よりうまく使えると思います。

 

~基本を大切にした技術伝承~汎用旋盤職人養成


1963年大阪生まれ。西尾鉄工所代表。旋盤師、伝統技術継承者◎祖父の代から80年続く大阪八尾市の町工場の三代目。「職人道」を極めた先代のもとで、13才から弟子入りし、昔ながらの職人技を叩き込まれ、家業を一人前にこなした。工業高校卒業後、中堅工作機械メーカーに就職。工作機械(機械部品を産み出す母なる機械。マザーマシンとも呼ばれる)の構造を隈なく学び、23才で独立。最先端コンピュータで制御された「NC旋盤」に対し、職人の「技」と「勘」が頼りの「汎用旋盤」(職人の手で動かす旋盤)をこよなく愛し、現在に至るまで、その加工にこだわり続けてきた。数少ない伝統技術継承者の一人。◎若い世代の人材不足、技術伝承に危機感を持ち、2016年「汎用旋盤職人養成講座」をスタート。教材用に独自開発した「汎用フライス盤」は、設計、加工、組立・調整をすべてひとりでやり遂げ、自身の総合技術力の賜物となった。最近、営業下手な職人の殻を破り、SNSを駆使して「基礎の手技」の重要性を次世代へと訴える。また、異業種の職人を対象に、「いぶし銀の会」を立ち上げ、オリジナル製品の企画、開発など「未来の職人像」を探っている。コンピューター依存が加速する製造業の未来を受け入れつつも、「機械の前に人間ありき」と、代々受け継がれてきた職人の技と精神性の伝承に力を注いでいる。◎2014年「八尾市ものづくり達人懸賞」受賞、2015年日刊工業新聞「マイスターに聞く」掲載、「なにわの名工」受賞◎西尾鉄工所ホームページhttps://nishio-tekkousho.jimdo.com/ 西尾鉄工所技術伝承 https://nishio-tekkousyo.jimdo.com/