新製品・新サービスを「組み合わせ」で作る

新製品・新サービスを「組み合わせ」で作る

スマホも組み合わせ

どんな製品やサービスもただ1つの発明ではなく、いくつもの発明の組み合わせでできています。

例えば、画期的な発明と言われたiPhone(アップル社)も、スティーブ・ジョブスはそのプレゼンテーションで「携帯電話、iPod、インターネット」が1つになったものだと言っています。

それぞれに存在した3つの発明を1つにしたことが画期的だとも解釈できます。

Combining the wisdom for developing new idea.
photo by PIXTA

発明も組み合わせ

特許権を取得している発明の多くは、他の多くの発明や技術の組み合わせでできています。

特許出願をするためにはその発明(技術)を文章で表現して特許庁に提出する必要があります。

この時、その発明を表す請求項は例えば「A部品とB部品とC部品によって構成されるX装置」のように記載されます。

A部品、B部品、C部品という個々の発明の組み合わせによってX装置という発明が成り立っていることになります。

 

進歩性

特許権取得の要件の1つとして進歩性があります。

進歩性とは従来の技術に比べて優れた点を評価するもので、例えば顕著な効果を奏するとか、従来の考え方では困難であったものを工夫して実現した点などが考慮されます。

例えば化粧品にある成分を加えることが困難であったところを、ある製法によって可能にしたものであれば、例えその「ある成分」が古い発明であったとしても、進歩性が認められることはあります。

 

個々の発明は当然従来から存在するものですが、それらを組み合わせて生み出された発明であっても、進歩性を認められて特許権が成立している例は多くあります。

発明全体として技術的に進歩したものであるかどうかが重要なのです。

 

組み合わせて予想を超える効果を生み出す

新製品・新サービスを考えるときにこの「組み合わせ発想法」は有用です。

ゼロから新製品・新サービスを作り出そうと構えるととても難しいものに思えますが、知っているものを組み合わせてはどうかと考えると発想が広がります。

特許権を取得している技術ですら「組み合わせ」の考え方に立っているのですから。

 

あとは、発想した組み合わせが新しい効果・魅力的な効果を生み出すかどうかを意識します。

特許権の取得はともかくとして、世の中にインパクトを与えるようなものであれば、その組み合わせは立派な発明となるでしょう。

組み合わせ発想法は日常の生活でもできます。いろいろな「組み合わせ」を考えてみてはいかがでしょう。


弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。