改善の視点……歩留まり|元トヨタマンの目

改善の視点……歩留まり|元トヨタマンの目

消しゴム

トヨタの本社工場時代の話。

事務用消耗品の消しゴムは長方形をしている。当時、その消しゴムを半分に切って必要な人に配布していた。

ある人がこんなことを言った。

 

「消しゴムを使っていると最後には丸く小さくなって捨ててしまう部分がどうしてもある。1つの消しゴムを半分に切ると、その捨ててしまう部分が2つできることになる。だから消しゴムは切らずに各自に渡した方がいい」

しかしある人が反論した。「いやいや、そうすると各自が消しゴムという在庫を倍も机の中に持つことになる」

 

先輩たちのこの議論を聞いた時、私は激しい衝撃に襲われたことを覚えている。

「へーぇ、この人たちはこんなことまで考えて生活しているんだ」と。

まるで宇宙人にでも会ったような感じだった。

石鹸

石鹸は人がシャボンを発生させるために使用する。しかし風呂場の中に置いてあるため湯が石鹸に当る場合が多々ある。

そのような場合、石鹸は少量ずつではあるが溶け出している。歩留まりがあまりよくないといえる。

しかしボトルに入った液体ボディーソープの場合は、溶け出すことが絶対にないので歩留まり100%だ。

 

元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。