改善の発表会を開きましょう!(3)

改善の発表会を開きましょう!(3)

先日A社であった改善発表会の様子です。その日は今年の4月に入社した5人の新人全員が、みんなの前で自分がやった改善を発表する会ということでした。

半年前に初めてみんなの前でご挨拶したときは全員ガチガチで、暗記してきた言葉を間違えずに言うので精一杯という感じだったのですが、半年経つとみんなそれぞれの職場で苦労したり努力したりの経験がモノをいうのですね、完全に会社に溶け込んでいるという風格(?)がにじみ出ていました。

さて発表ですがこれがびっくりするような立派な内容ばかりだったのです。

 

1.先輩が親切に仕事を教えてくれたのだけれど、実際にやってみると分からないことが出てきたので、それをすべて書き出して標準作業所の急所の欄に書き足しました。

2.先輩がいろいろな冶具の使い方を教えてくれましたが、形が似ていて区別が付きにくかったので、すべての冶具に番号をふり、それぞれの用途を書いた表を作って分かり易くしました。

3.先輩と一緒に倉庫内で掃除をして整理・整頓を行いました。不要品の廃却で分別用のゴミ箱が汚くなっていたので磨いてきれいにして表示を張り替えました。

4.先輩の作業時間と比べると2倍の時間がかかっていましたが、頑張って練習して1,3倍くらいまで近づきました。

5.先輩から声が小さいと言われたので、大きい声を出すようにしています。(先輩の応援演説付き)(確かに大きな声でした、素晴らしい! 柿内注)

 

実は半年前の発表会時に5人全員が半年後の発表会で改善発表をするのだと予告をされていたのだそうです。

5人の新人君たちはきっとものすごくプレッシャーを感じて改善ネタを見つけ、頑張って実行して発表してくれたのだと思います。

もし新人たちに改善発表会での発表を義務付けなかったら、多分彼ら全員が改善を実行することには至らなかったと思います。

 

そしてA社の改善はマネでもメンテナンスでもなんでもOKという緩さがあることも効いていると思います。

5番目の改善なんて普通だったら改善とは言えないですよね。でもA社は働く人の努力を何より評価していますから、これでいいのです。

実際にみんなが元気な声で会話をするのは大切なことですが、これを実行する方法は意外とありませんよね。A社では改善活動を使っているということです。

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◎現場改善No.1コンサルタント。大手自動車メーカーにて、一貫して生産効率改善(IE)を担当し、その改善手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学。帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導、抜群の成績をあげる。 ◎現在、 柿内幸夫技術士事務所の所長 として、自動車、家電、食品、IT関連メーカーなどを指導。「現場で、全社員が一緒に改善する実勢指導」という独自のノウハウで、社長・工場長はもとより、現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日である。 ◎1951年東京生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業、スタンフォード大学修士課程修了、慶応大学にて工学博士号取得。 ◎著書「最強のモノづくり」(御沓佳美 共著)「“KZ法”工場改善」「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「5Sでつくる高収益工場ビデオ」「図解でわかる生産の実務 現場改善」「現場改善入門」「現場の問題解決マニュアル」他多数。平成16年日本経営工学会経営システム賞受賞。工学博士、技術士(経営工学)。