改善のステップ|元トヨタマンの目

改善のステップ|元トヨタマンの目

問題点を発見したら、その原因を徹底的に追究する。

そのために、なぜ?なぜ?……と5回以上繰り返して真因にたどり着く。

以上は、よく言われる言葉だ。

しかしこの言葉は、精神論に近いかもしれない。

頭の中で考える思考過程をより具体的に説明しなければ、聞いている人には分からないのではないだろうか。

そこで、次のような思考過程を踏みながら、なぜ?なぜ?を繰り返してほしい。

 

<改善の第1ステップ>……『技法の改善』

ネジ締めを、手動ドライバーから電動ドライバーに変えた結果、スピードアップができた。

 

<改善の第2ステップ>……『方法の改善』

現状はネジ締めだ。

しかし、「固定すればいい」のだから、「クランプ締め」とか「カム方式」とか「嵌合方式」などの方がワンタッチでできる。

 

<改善の第3ステップ>……『思想の改善』

なぜ、固定しなければいけないのか?

プレスとかプラスチック成形で「一体成形「してしまえば、固定すること自体が必要なくなる。

 

通常、第1ステップで終わってしまうことが非常に多い。

第2ステップ、さらに第3ステップまで切り込まないとだめだ。

 

さあ、明日から現場で、

「このことは『技法』か?⇒『方法』か?⇒『思想』か?」

「なぜ?なぜ?なぜ?……」

といったことを頭の中で繰り返して、悩んでほしい。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。