技術者採用の際に絶対にみておくべきポイント
技術者採用の段階で技術者を見極めることは、技術者人材育成において極めて重要です。
これは、入社してからじっくり時間をかけて育成するというより、可能な限り早く企業利益を生み出す技術者に引き上げる、というスピード感が世界中のものづくり企業で求められているからです。
つまり、技術者人材育成にとってスタートラインも重要ということです。
新人技術者を採用する際に見るべきポイント
さて、新人技術者採用にあたって見るべきポイントとは何でしょうか?
学歴でしょうか?
学生時代の経験でしょうか?
資格でしょうか?
どれも一要素ではありますが、本質ではありません。
是非採用では、
「あなたが学生時代にいろいろやったことで最も大きな失敗は何ですか?」
と訊いていただき、その答えに対して、
「それをどのように乗り越えましたか?または乗り越えようとしましたか?」
という質問をしてください。
これに対して、
– たどたどしくてもいいので、きちんとした主体性を持って話をできているか
→人任せでやってきた場合、他人事のような表現が散見されます。
– 自分はどう考えたのか、どう行動したのか、ということを深堀してもこたえられるか
→自分で必死に考えてやってきたことはどのようなアドリブ質問に対してもこたえられます。逆に主体性が無いと、深堀するごとに回答がでなくなってきます。
というのをじっくり観察してください。
これによって、本当に自分で考えて、そして行動して乗り越えたのか見極めることができます。
学歴と資格について
先に述べた一般的に採用でみられる学歴や資格というのがどのような位置づけなのかをあわせてみていきます。
1.学歴について
まず学歴についてですが、これで判断するのは偏見であるという批判もかなりあるようですが、例えば書類選考において参考にするのは大きな問題は無いと考えます。
特に募集人数の多い企業や採用選考にあまり人員を割けない企業においては、書類によってある程度選別することは合理的と考えることができます。
ただし、学歴によってある程度担保されるのは、
「言われたことを、まじめにこなすことができる」
という可能性が“高い”という点だけであることは理解しておく必要はあります。
学歴があるからといって、「企業に利益を与えるような、自主性と実行力を有するか」ということに対する十分条件とは言えないことは強調しておきます。
あくまで、利益を与えるような自主性と実行力を有する必要条件の一つとして、企業組織では何を求められるのかという「企業人常識」を最初の数年は構築する真面目さが必要なので、その真面目さがあるのかということを判断する一指標になるというだけです。
2.学生時代の経験について
部活やサークル、アルバイトや留学。人によってはインターンを経験した人も居るでしょう。これらの情報から理解できるのは、その人たちの「積極性」です。
これはのちに自主性につながるベーススキルですので、見る観点としては重要です。
ただし、学生の経験というのは成果を求められていません。挑戦するだけで成果になってしまっています。
そのため、企業に利益を与える「成果を伴う実行力」を有するのかという事に対しては判断できないのです。
もちろん、そのような成果を学生に求めることは酷なのですが、あくまで採用側が、「積極性」を評価しているにすぎないのだ、と認識することが重要です。
3.資格について
技術者の資格はあまり多くありませんが、有名なものでは技術士という資格もあります。
また、海外とのやり取りが多く、英語での情報収集や情報発信が必要な場合、英語の語学力判定に使われているTOEICなどもあります。
さて、この資格についても学歴同様、
「この人は課題に対してまじめに取り組むことができるのか」
ということを考える指標になります。
資格を有する学生が、企業に利益を生み出すための自主性や実行力を有するかについては未知数です。
なぜならば学生の多くはその資格を使って報酬を得る経験が無いからです。
本当の資格というのはどちらかというと、実戦経験を踏まえて後付で得られると考えるべきです。
このように、一般的には実戦経験を持てない学生に対して、資格だけで企業に利益を生み出す自主性や実行力をもっているかを判断するのは難しいと考えます。
上述した通り従来の採用観点というものがどういうものを判断するための指標であるのか、さらにそれぞれに限界があるということも理解しておくことは重要です。
是非、採用においては、
「あなたが学生時代にいろいろやったことで最も大きな失敗は何ですか?」
「それをどのように乗り越えましたか?または乗り越えようとしましたか?」
と問いかけてみてください。