技術をきちんと評価する
「技術をきちんと評価する」って大切ですよね。
私が、職人をきちんと伝えてくれる最後の方かなと思っている小関智弘さんの記事です。
「きちんと評価しないと技術力は衰弱する」(『東洋経済オンライン』2010年05月12日)
以前に小関智弘さんの記事は何度かブログにも書いています。
「火造り(ひづくり)」(ブログ「わが道を行く」2015年11月17日)
「火造り」したバイトについて書いてますが、「火造り」の言葉すらご存知の方は少ないと思います。
もう職人について正確に書いた本は、おそらくメジャーでは出版されないでしょう。残念ですが。
この記事で、小関智弘さんは、「町工場の高齢化」と「技術の横取り」について触れてます。私も全く同意見です。
「町工場の高齢化」は、単に年齢的分布だけではなく、若い世代の方に技術が伝わっていないことが重要だと思います。
「技術の横取り」は、人の成果をすぐに横取りする大企業の姿勢を取り上げてます。
全く持ってその通りだと思います。それに加え、私は、工具や機械やソフトのメーカーも同じことをしていると常々思っています。
先輩職人方のバイトや道具の技術をコピーし、製品化し販売したり、これまた、先輩職人方の加工方法をコピーし、ソフトやマクロとして公開してしまったり。
作業者はそれらをペーストして、ボタン押して品物を作っています。
私に言わせれば、全くの無法地帯? です。確かに職人さんはそのつど特許を取るようなことはしませんので、法には触れないでしょうが、いかがなものかと思います(若者の指導面から見ても好ましいとは言えません)。
小関智弘さんも記事内で、
「人の成果をすぐに横取りするのが今の大企業の姿勢。それではダメです。技術をきちんと評価しないようでは、日本の技術力は衰弱するしかないでしょう」
とおっしゃってます。
今回のブログ記事を書いていて、過去によく騒がれた「マネーロンダリング」を思い出しました。
違法性がどうのではなく、技術の提供元を明かさず、自社製品(自社技術)として世に出す手法。
たびたびブログでも書いていますが、「高度な技術は、公開してはいけない」と私は思うのですが、皆さんはそうではないのでしょうか。
公開してはいけない理由は、間違って伝わったり、作業者の向上心が損なわれたり、加工方法や段取りが統一化されてしまうからです。
これらは、小関智弘さんの記事と同じく、「日本の技術力は衰弱する」ことにつながると思います。
すなわち、技術をきちんと評価しない世の中になってきているように思います。
とりわけ若い方が、この製造業に入ってきた時の指導方法が大切と考えます。
技術のコピー&ペーストでは、技術は身に付かないと思います。
やはり、機械加工の基本は汎用機であると思いますので、まず、汎用機を使い自分でバイトを研いでという、プロセスをふみ、その感覚を自分の体にしみこませる事。この基本が非常に大切であると思います。
後々このことが大きく影響してくることでしょう。
そうなる(技術のコピー&ペーストで人を育てる)前に、手を打たなければならないと思っています。