恐るべし韓国企業! 日本企業やばいぜ!|元トヨタマンの目

恐るべし韓国企業! 日本企業やばいぜ!|元トヨタマンの目

韓国のある一流企業の工場を見せてもらった。

その会社は工程にも製品の流れはあるし、TPM(Total Productive Maintenance全員参加の生産保全)を全社を挙げて実施していたため、ちょっと見は非常に良かった。

しかしトヨタ生産方式の考え方がほとんど入っていないため、私の目から見ると改善すべき項目は山積していた。やはりトヨタ生産方式とは物づくりの本質を突いた考え方で個人的には「真理」とまで確信しているため、その視点から見れば「問題点」はすぐに分かる。

 

各ショップごとに現場を見せてもらってから、詰め所でミーティングだ。

その時徹底的にいろいろな質問を投げかけてくる。

 

「俺たちはこういう方向で努力しているが、トヨタではどうか?」
「このやり方よりもっとよい方法はないか?」
「在庫が多すぎて困っている。どうしたらいいか?」

などなど極めて貪欲だ。

 

「トヨタから見て、俺たちはどのくらいのレベルにあるのか?」ということを、本当に知りたがっている。私はこのひたむきな態度に正直感動した。

このようなひたむきな向上心こそ改善の真の原動力なのだ。

 

日本の一流企業の工場もたくさん見せてもらったが、この韓国企業とそれほど変わらない。(ブランド名はカッコいいのに、こんな工場かよ)といったところが実に多かった。

このような日本企業にはプライドがあるのか、自分の位置を血眼になって知り、もし低い位置ならなりふり構わず向上されるという貪欲さが見受けられない。

そうしないとトヨタはどんどん進化し続ける会社であり、それとの差は開くことはあっても縮むことはない。22世紀にはトヨタしか残っていないということになるかもしれない。

 

2つの巨大な工場を1日ずつ見学しそれぞれの工場長に口頭で問題点を指摘した。

3日目は両工場の工場長やメンバーが集まるから講演をしてほしいとのことだった。それもできたら両工場長がみえるので提案書まで書いて欲しいとのこと。

(おいおい提案書なんて書くの時間かかるよ。勘弁してよ)と思ったが、このチャンスを逃すと海外でもありかえってめんどくさい。(よーーし、徹夜だ!)ということでホテルでパソコンに向かった。

 

そして明け方、自分でも惚れ惚れするよう提案書完成! そしてちょっと寝た。

翌日3日目、昨夜の努力の甲斐あって、我ながら惚れ惚れするようなプレゼンができた。

 

やれやれ、これで日本へ帰れる。

帰ろうとすると、「すいません。今度は提案書の内容の実施スケジュールの具体的なやつをすぐに書いて送って下さい」。

そして帰国し、2日間かけて書いて送った。

 

トヨタマンとして仕事は驚異的に速くできると自負していたが、韓国の仕事のペースはそれ以上だ。韓国恐るべし!

元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。