役立ちたいと言う思いが生んだ発明【株式会社ささき】

役立ちたいと言う思いが生んだ発明【株式会社ささき】

今回は創業者であり発明家でもある佐々木孝吉氏が会長を務める株式会社ささきを紹介します。

面白いことを考えるのが好き

株式会社ささき(東京都江東区)は、創業50年の塗装業を営む会社です。

ビルではキャッチフレーズ「変えるなら 奥さんよりも 壁の色」が目を引きます。面白いこと・楽しいことが好きそうな会社のようです。

佐々木

創業者であり発明家でもある佐々木孝吉会長にお話を伺いました。

応接室には特許証などの権利証が、会議室にはアイデア発想に使ったデザイン画などがたくさん並べられています。

デザイン画は、アイデアを具体化するための発想法として作っているものなのだそうです。

 

一旦、応接室から会議室に移動してから再度応接室に戻ると、なんと、洋室が和室に替わっていました。

壁面に格納されていた畳が下りてきて和室になるという仕掛けだそうです。

とにかく面白いことが大好きで、人を喜ばせたい会社なのだと感じました。

たくさんのアイデアは、人を楽しませる・喜ばせるために生み出されているのでしょう。

片手で取れるトイレットペーパー

佐々木氏に「トイレに入った時、トイレットペーパーを何気なく使っていますが、両手で取っていることを知っていますか」と尋ねられました。

思い返してみれば、トイレットペーパーはカバーを片手で押さえないと、紙を上手く切れません。

無意識のうちに、両手をつかってトイレットペーパーを取っていたようです。

 

このような気づきから当社が開発したのが、片手でトイレットペーパーを取れるトイレットペーパーホルダーの「コロベークン」です。

佐々木2

もともとは身内にあった手が不自由な方のために作ったのだそうです。

トイレで紙を切るのに苦労していることを知り、プライベートな空間で助けを求めにくいという事情も察して、「片手でも簡単に紙を切れる商品を開発しよう」と思い立たれました。

 

コロベークンは、カバーの上にあるローラーを回すことで片手でもペーパーを好みの長さに取り出すことができ、ペーパーのカットも片手でできるように工夫されいます。

このアイデアについては特許権も取得され、本業のリフォーム塗装の際にも提案して多くの家庭に採用されているそうです。

これまでに約2万台を売り上げるヒット商品になっています。

 

アイデアを作るのは喜んでもらえるから、喜んでもらえるというのはどういうことかと言うと、「役に立つ」ということも1つの解釈かと思います。

このコロベークンの発明は、人の生活の役に立つことで喜ばれる素敵なものだと感じました。

人を喜ばせること、発明の基本的な動機であって重要なポイントであると再認識しました。

佐々木3

弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。