工場の帽子|元トヨタマンの目

工場の帽子|元トヨタマンの目

私がトヨタへ入社した当時の工場の帽子には工夫がいっぱい詰まっていた。

ツバは小さく、帽子の生地も、薄いが丈夫だった。

工場での帽子の必要性を考えてみると次のようになる。

 

①髪の毛の機械への巻き込みの防止
②頭の保護(かすり傷程度の防止)……重量物の当たることへの対策はヘルメット

 

ツバについては視界を妨げるだけなので無い方がよい。

しかしツバが無いと、帽子の着脱が不便なので、小さいツバならつけてもよしとしよう。

帽子の生地が薄いと、食事などで帽子をとった時、まるめてポケットなどにいれることができ便利だ。

 

私は頭が大きく、会社で支給された一番大きなLサイズでも少々小さかったため、その点が不満だったが、なんとかピチピチにかぶって仕事をしていた。

トヨタを初め工場は帽子にまで工夫をしていてすごいなあ、と感心したものだった。

しかしながら、そのうちにユニフォームのモデルチェンジが行なわれた。なんと帽子が野球帽のようにツバがでかいのだ。

 

野球は炎天下でやるため、日よけのツバがいるが、工場作業も炎天下でやらすつもりなのか。多くの作業者がツバが視界をさえぎるので、ツバを後ろにして作業をしている。

ところで、中国や韓国や台湾は工場では帽子を着用しない。髪の毛の機械への巻き込みについての認識がないようだ。

女性も長い髪で作業をしている。本当に心配になる。

 

しかし視界は360度確保なのでこちらはばっちりだ。

所変わればいろいろだが、やはりトヨタ創業当時の帽子がベストだと確信する。

早急にトヨタももとに戻してもらいたいものだ。

 

元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。