寸法不良・メジャーの精度が問題?!

寸法不良・メジャーの精度が問題?!

前回、外注先から直接出荷させる部品の品質を
どのように確保するか?
ひとつの手段として不良品を出荷させないために
自社検査員を派遣している例を紹介しました。

今回は、日本企業が中国企業(A社)から購入した
ユニット製品で起きた不良の事例です。
前回との共通点は、1部の部品が購入先中国企業の外注から
直接出荷されていたことです。
でも、A社はB社に自社の検査員は派遣していませんでした。

外注先(B社)から直接出荷されるのは長尺部品で、
それをつなぎ合わせで使うようになっています。

ところが何本かつなぎ合せていくとズレが生じ、
ユニットを組立てることができません。
その長尺部品の寸法を測ったところ、
規格より長いことがわかりました。
規格よりもプラスしているので、
それが累積して大きなズレとなり
組立たなくなるという現象でした。

購入先のA社にクレームを付け、
原因・対策の報告を求めました。

原因として書かれていたのが、
長さを測定するメジャーの精度が狂っていた。
それを使って検査をしているので、
外注先は合格品として出荷したとありました。

顧客からのクレームを受けてA社スタッフがB社で
寸法検査を行い、
B社が合格とした部品の寸法がNGであることを確認しました。
それは、A社とB社のメジャーでの測定値に
差があることを意味します。

測定値の差を1m、3m、5mで検証したところ、
それぞれ0.4mm、0.8mm、2.5mm程度
B社のメジャーの方が小さな値が出ました。
そのためにB社で合格のものは、
プラスNGになっていたのでした。

A社は対策として、作業や検査に使用するメジャーを
自社と同じものを無償支給することにしました。
支給した段階ではメジャーの精度は問題ありませんが、
使っていくうちにずれてくる可能性があります。
定期的に校正することが必要なのですが、
外部に校正に出すくらいなら、
新しいメジャーを支給した方が確実と考え、
1年ごとに支給することにしました。

今回の問題は、A社の外注管理不十分が招いた結果とも言えます。
検査器(測定器)の測定値が正しいことを確認するのは基本です。
自社検査員を派遣していないのですからなおさらです。

測定器の校正が必要なことは理解していても、
測定値が狂うことなどそうそうないと思い、
ついおざなりになってしまうとこのようなことが起きるのです。

 

出典:寸法不良・メジャーの精度が問題?!


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/