家電機器のエネルギー効率基準およびラベリング・プログラムの成果

家電機器のエネルギー効率基準およびラベリング・プログラムの成果

29ヶ国のエネルギー省の組織である国際エネルギー機関(IEA)は、最近、家電機器のエネルギー効率基準および世界中のラベリング・プログラムの成果を考察した報告書『Achievements of appliance energy efficiency standards and labelling programs(家電機器のエネルギー効率基準およびラベリング・プログラムの成果)』を発行しました。

エネルギー効率基準は、家電機器のためのエネルギー効率レベルを義務付ける法的要件です。

ラベリング・プログラムには、米国で冷蔵庫に貼付されている黄色のエネルギー・ラベルなど消費者に情報を提供する義務プログラム、あるいは米国のENERGYSTAR®などの自主プログラムがあります。

 

80ヶ国以上の国が、50種類以上の家電機器や装置に対応する、国家エネルギー効率基準およびラベリング(EESL)プログラムを施行しています。

スクリーンショット 2017-02-09 17.39.50

IEAの報告書は多数の調査研究を取りまとめたもので、様々な国における主な家電機器のエネルギー効率が、基礎となる技術進歩のレートの3倍以上で増加していることを指摘しました。

それまでエネルギー効率プログラムがほとんど存在していなかった国において、新しいEESLプログラムで30%以上の改善が達成されました。

報告書は、より成熟した国家EESLプログラムで国のエネルギー消費量の10%〜25%が節約されたことを指摘しています。

 

EESLの利点の一例として、報告書は中国が2005年から2009年までに年率5%以上のエアコンの効率改善を達成したことに注目しています。

要約すると、中国のEESLプログラムは「2020年までに28ギガワットの必要発電量を不要にし、毎年680万トンの二酸化硫黄排出量、480万トンのNOX、2900万トンの微粒子を回避することによって、空気の品質を向上させます」費用対効果が常に重要ですが、IEAの報告書は「検討したすべてのEESLプログラムにおいて、国の利益が少なくとも3対1の比率で追加コストを上回る」ことを明らかにしました。

家電機器メーカは、継続的に効率改善の方法を改革し、かつ見極めて、量産でのコスト削減を達成してきました。

 

それによって、新たな市場機会と雇用機会を創り出しています。

IEAによるとEESLプログラムによって、EUでは80万の直接雇用の仕事、また米国では34万の仕事が創出されました。

EESLプログラムの批判は、エネルギー・コストを削減すると人々はより多くのエネルギーを消費するようになるというものです。

 

一例を挙げれば、エアコンの効率が高いと、人は節約分の費用でより長時間エアコンを稼働させてしまい、EESLプログラムの環境的な利点の一部を台無しにすることがあります。

この批判は文献では「リバウンド効果」と呼ばれ、報告書でも取り上げています。

報告書は、リバウンド効果がEESLプログラムの意図しない結果を生み出す可能性があることを指摘した後、先進国では個人の収入のうちエネルギーに費やす割合が比較的低いため、リバウンド効果が問題に直結する世帯数は限定的であると述べています。

 

この報告書は、途上国の状況は人口統計や気候に応じて異なる可能性があることを認めています。

リバウンド効果が起こることが分かっている場合でも、EESLプログラムは正味のエネルギー節約と全体的な費用効果を実証しています。

American Council for an Energy-Efficient Economy (ACEEE: 米国エネルギー合理化経済評議会)は、「リバウンド効果」に関する研究のきわめて包括的な検討を行っており、約20%の適度なリバウンド効果を発見しました。

 

リバウンド効果の詳細については、次のURLをご覧ください。
http://aceee.org/blog/2012/08/rebound-effect-real-not-very-large

 

IEA報告書は、EESLプログラムが、リバウンド効果を考慮した後でも、他のクリーン・エネルギー供給オプションよりはるかに低コストで、エネルギー使用量とCO2排出量を大幅に削減する確かな証拠があると結論付けました。

IEAのメンバーである政府は、「エネルギー需要を満たすための投資オプションおよび優先順位を検討する際に、すべてのEESLプログラムが範囲拡大の潜在能力を持ち、より多くのエネルギー節約およびCO2削減を熱望していることに留意しながら、これらの調査結果に配慮」して、IEAの勧告に従う可能性が高いといえます。

ENERGYSTAR®などの基準を支援する団体、業界標準化組織、政府機関、中国標準化研究院、欧州EuP指令との緊密な作業を通じて、オン・セミコンダクターは、様々なエンドマーケットに対して、継続して革新的なエネルギー効率の高いソリューションを提供するコミットメントを果たしています。

出典:『家電機器のエネルギー効率基準およびラベリング・プログラムの成果』オン・セミコンダクター


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。