大きく変わる日本の製造業。「受け」から「攻め」へ働き方を変えろ

大きく変わる日本の製造業。「受け」から「攻め」へ働き方を変えろ

地産地消は、最も効率が良い生産・消費の形だ。製造コストを最小限に抑え、ユーザーに早く届けることができる。製造業でも大企業を中心に、重点市場に近い場所での生産が進んでいる。
これまで日本は国内で作って海外で売るというビジネスモデルで成長してきた。しかし市場が国内から海外へと広がるにつれ、その形は変化している。大企業はもちろん、中小企業もそれをもう一度再認識し、新たな手を打つ必要がある。

▼とは言え、国内から工場や製造現場がなくなるのかと言ったらそんなことはない。大量生産の拠点というよりも、世界各地で生産するための新しい技術や製品の研究開発と初期の生産、新たなビジネスモデルを生み出す役割を果たすようになる。そうなると、そこで働く人々、そこに納める企業に求められるスキルも当然変わってくる。

例えば、今は単にモノを作るだけの人が、今後はモノを作りながらその仕組みも考えるようになる。一種の多能工化だが、作業の種類が増えるというのではなく、生産技術のような役割、思考になっていくのかもしれない。

また、イチ営業マンとして売るだけだった人が、いかに他の人、海外市場でも売れるようになるかといったことも考えていかなければならない。営業担当というよりも営業主任、マネージャーのような役割だ。

これまで長く下請けとして仕事を受注していた企業が、逆に主体的に提案して営業していくことが求められる。経験と実績を武器に、工場の新しいチャレンジを後押ししていく。

「受け身」から「攻め」へ。スタッフからマネジメントレベルの視点で仕事をする。環境の変化に合わせ、自らも変わる。そんな人や企業は確実に増えてきているが、まだごく一部に過ぎない。

▼第4次産業革命が騒がれているが、それ以前から日本の製造業を取り巻く環境は大きく変化している。そこにインダストリー4.0やIoTという仕組みややり方の変化が加わり、日本の製造業はかつてないほどに大きな激変の波にさらされている。
日本の製造業が世界トップである、安定していたのは過去の話。もう一度がむしゃらに、頭を使って戦う時が来ていることを自覚しなければならない。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。