多民族多言語国家は大変です。 | ラオス縫製工場の日常
※当コンテンツはCBC Laoの提供でお届けいたします。
最近、縫製工場の事務室内でこんなやりとりがありました。
1人のモン族の女性が、事務の女性のところへ来て、次のように話しかけたのです。
モン族女性「コー・ラ・パー」
事務の女性「??」
モン族の女性「コー・ラ・パー」
事務の女性「??」
タイ人工場長「『コー・ラ・パック』と言いたいの?」
モン族の女性「はい。」
ラオスで「休暇願いをください」のことを「コー・ラ・パック」と言います。
しかし、そのモン族の女性は「パック」ではなく「パー」と言っていたため、事務の女性は「??」という感じでした。
確かに、ラオス語は語尾の音が聞き取りにくいですが、「パック」=「休み」という単語は、決して難しい単語ではなりません。
モン族の人々の多くが、ラオス語を話せないということはありませんし、学力が低いということはありません。
むしろ、モン族の人々は、まじめで、一生懸命な人が多いという印象です。
ラオス国立大学やラオス医科大学にも、たくさんの人が進学しています。
人によっては、「ラオス国立大学に進む男性はモン族ばかり」という人もいるくらいです(これはさすがに言いすぎです)。
しかし、モン族の人々を含め、山奥にあるような村で生まれ育った少数民族の人の中には、ラオス語で教育を受ける機会がなかった人がいます。
小学校のない村もあります。たとえ小学校があったとしても、小学校で中退せざる得ない人がたくさんいます。
先生がラオス語しか話せないと、生徒とコミュニケーションを取ることができなかったりするからです。
小学校1年生には生徒が50人くらいいるのに、小学校5年生になると生徒数が一桁になるなんてことも、山奥の招集民族の村ではあることです。
結果として、村人の多くがラオス語が話せないということを起こります。
そのような人々が、いろいろな事情から、首都のビエンチャンに出てきて仕事を探すことがあります。
ときには、縫製工場に仕事を求めてきたります。
ラオス語が全くできない人を採用することは、コミュニケーションが取れないのでできませんが、それでもラオス語が苦手とする人々が働いてるのが、ラオスの縫製工場です。
最初の例の女性ほど、ラオス語を話したり、聞いたりするのが苦手な職員は、ほとんどいませんが、ラオス語の読み書きができない職員はけっこういます。
縫製工場の職員として大事なのは、手先の器用さであったり、細かいところへの気配りだったりするので、たとえラオス語が苦手であっても縫製に関わる仕事は立派にすることはできます。
しかし、縫製工場内外を問わず、何らかの文書を書いたり、手続きをしたりしないといけない場面がときどきあるはずです。
そんな場面を考えると心配になってしまう部分もあります。
※モン族出身であれば、何人もモン族出身の職員がいるので、ラオス語を話すのが苦手でも、なんとかやっていけます。
海外の縫製工場で働いていると、縫製のこと以外にも、ときどきいろいろなことを考えさせられることがあります。
※下の写真は、ラオスの山奥の少数民族の村です。自給自足のような生活を送っています。(職員の出身の村ではありません。)