解析よもやま話「境界条件の大切さ」

解析よもやま話「境界条件の大切さ」

※解析よもやま話はAltairの提供でお届けいたします。

こんにちは。Altairの中川です。

学生フォーミュラ向けの支援を始めて1年が経ちました。いろいろなチームの課題を拝見し、みなさんがどういった解析をやりたいのか、またどのようなところがネックになっているのかが分かってきましたので、この場を借りて、CAEの基礎知識やアドバイスを不定期に連載していきたいと思います。

解析を行っているチームにも、これからやってみたいと思っているチームにも役立つような情報発信をしていきますので、読んでいただけるとうれしいです。

 

早速ですが、第1回目のテーマは【境界条件の大切さ】についてです。

先日の相談会でサスペンションのベルクランク(プッシュロッドとスプリング・ダンパーユニットをつなぐ部品)の最適化を試させてもらいましたが、境界条件をちょっと変更するだけで得られる形状が全く変わってしまうということが確認できました。

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図をご覧ください。軸回りは回転フリーで、右上のプッシュロッド取付け部に左方向荷重を負荷しているのですが、左下のスプリング・ダンパーユニット取付け部を、並進方向全て拘束した左の図では軸との間に部材が無くなってしまいました。

一方、右の図のように上下方向のみ拘束し左右方向はフリーにしたところ、軸との間に部材は必要だという結果が得られました。スプリング・ダンパーユニットは両端とも回転フリーの構造ですので、右の図の方がより現実に近いということが分かると思います。

このようにCAEツールというのは魔法の道具ではなく、ユーザーがどう条件を設定したかによって場合によっては簡単に誤った結果が出てくるものなのです。各部品がどういう条件で取り付けられているのか良く考えて計算を行うことがとても重要です。

最後までお読みくださりありがとうございました。次回分を鋭意執筆中です。よろしくお願いいたします。

提供:アルテアエンジニアリング株式会社(日本法人)


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。