地域発、中小企業イノベーション宣言!
変化が求められる今こそ、工場運営や工場経営の変革やイノベーションョンを考える、という話です。
製造技術や生産技術のイノベーションが上手く進まない、そもそもイノベーションの取り組みができないのは、今の工場運営や工場経営のやり方が、時代に合わなくなってきたからです。
工場運営や工場経営も変革やイノベーションの対象です。
1.地域発、中小企業イノベーション宣言!
地域発、中小企業イノベーション宣言!
これ、何のテーマか分かりますか? 2015年版の『中小企業白書』で取り上げられたテーマです。
毎年発行される白書の表紙には、その年のテーマが書かれています。表紙に書かれたテーマに惹かれて、白書を手にしました。
なるほど、現在、中小企業が直面している問題、課題が理解できます。アベノミクスで景気は回復の傾向を維持している、というのが政府見解です。
一方、中小企業のモノづくり工場では、いかがでしょう?
「厳しい!!」
この一言ではないでしょうか。
グローバル化、人口減少、それに伴う取引構造の変化。こうした背景があるので、中小企業の経営環境は厳しく、これらに対応するためにはイノベーションと販路開拓が必要である、と白書で解説されています。
そこで、このテーマになったようです。
ちなみに、気になって過去10年間の白書のテーマを調べてみました。
- 2014年 小規模事業者への応援歌
- 2013年 自己変革を遂げて躍動する中小企業・小規模事業者
- 2012年 試練を乗り越えて前進する中小企業
- 2011年 震災からの復興と成長制約の克服
- 2010年 ピンチを乗り越えて
- 2009年 イノベーションと人材で活路を開く
- 2008年 生産性向上と地域活性化への挑戦
- 2007年 地域の強みを活かし変化に挑戦する中小企業
- 2006年 「時代の節目」に立つ中小企業
2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災。2つの大きな出来事があったので、反映させたテーマもあるようです。
10年分のテーマを眺めて、どう感じますか?中小企業に期待されているのは「変化」であり「イノベーション」。これこそが、今、求められていることです。
社会の変化は、経済や天変地異のみではありません。技術革新や新製品や競合の出現、消費者ニーズの変化……等々。社会情勢は、それ自体“立ち止まっている”ことの方が不自然です。つまり商売のフィールドである市場は常に変化しています。
ですから、市場変化に対応し、存続・成長のためには、中小企業も常に変化しなければならないわけです。
2009年のテーマでも「イノベーション」が取り上げられています。「イノベーション」は中小企業のキーワードと考えましょう。
2.モノづくり工場を支える技術やノウハウの3分野
以前、勤務していた会社の取引先の社長さんが語った言葉が忘れられません。
「技術を磨いてイイ仕事を取りたいので、ウチは技術開発をイロイロやるよ。」
そこは、従業員が50人にも満たない金属加工を主業とする会社でした。社長が先頭に立ち、外部組織とも連携し、工場で色々と挑戦していました。この規模の会社でも意欲的だなぁ、印象に残った次第です。
中小企業のモノづくり工場が技術面で立ち止まることは何を意味するか、その社長さんは十分に理解をしていました。
モノづくり工場を支える技術やノウハウには大きく3つあります。
1)製造技術(原材料へ製品差別化の源を付加する加工技術)
2)生産技術(原材料を効率よく生産する技術)
3)工場運営・工場経営
1)や2)が重要であることは言うまでもありません。
先の社長さんも、十分にそれを理解し、技術の変革やイノベーションを図っていたわけです。
同様に、全国各地の中小企業のモノづくり工場でも、製造技術や生産技術での新たな挑戦が、行われています。それだけ、重要な課題であることを、経営者自身が認識しているからです。
ここで、ちょっと振り返ってください。
これまで、色々と挑戦してきた新たな製造技術や生産技術、上手くいっていますか?
また、失敗しても、そこから何か新たなノウハウが得られていますか?
推測するところでは、下記のような答えが多いのでは……。
「う~ん、それが、なかなか上手くいっていない場合が多いね」
「上手くいかなくて、そのまま、放置されているね」
残念ですが、このような状況の工場も多いのではないでしょうか。
3.工場運営や工場経営も変革やイノベーションの対象
そして、同時に振り返りたいことは、工場運営や工場経営の変革にも取り組んできたかどうか?ということです。
製造技術や生産技術のイノベーションが上手く進まない。
そもそも、イノベーション活動の取り組みが出来ない。
これらの原因は、その工場の工場運営や工場経営のやり方が影響していること大です。
工場は人で構成されています。部分を上手く動かし、全体を機能させるためには、連携が必要です。
いかに設備の自動化が進もうが、使い方自体を決めるのは人。その工場のモノづくりに、1本筋が通った考え方がなければ、新たな技術も定着しませんし、良い製品もできません。
工場を運営するためには、その工場独自の生産計画や、生産状況フォローのやり方が存在します。
そして、工場の作業者は、そこで決められた方法ややり方に従います。その結果、作業者はその工場の方法ややり方に応じた思考方法や習慣が身に付きます。
したがって、工場運営や工場経営は組織文化を根付かせる機能も持っています。
もし、経営者の想いを実現するためにふさわしい組織文化でなければ、現在の工場運営や工場経営を見直す必要があります。
製造技術や生産技術のイノベーションが上手く進まない、そもそも、イノベーションの取り組みができないのは、今の工場運営や工場経営のやり方が、時代に合わなくなってきたからです。
ですから、工場運営や工場経営も変革やイノベーションの対象です。
2012年現在で、中小企業製造業の会社数(個人事業数は含まず)は、273,525社(出典:2015年版中小企業白書)です。
日本全国で27万人もの経営者の方々がモノづくりに奮闘しています。その方々には、改めて、工場運営も対象にしてその変革やイノベーションを考えて欲しいです。
製造技術や生産技術のイノベーションを成功裡に終わらせるため、また、人財育成のためには、工場運営の変革が必要だからです。
変化が求められる現在、工場運営や工場経営に注目してみてください。
まとめ
製造技術や生産技術のイノベーションが上手く進まない、そもそもイノベーションの取り組みが出来ないのは、今の工場運営や工場経営のやり方が、時代に合わなくなってきたから。
工場運営や工場経営も変革やイノベーションの対象である。
変化が求められる今こそ、工場運営や工場経営の変革やイノベーションを考える。