固定振れ止め修理

固定振れ止め修理

こんにちは

ここ数日で夏が過ぎたような感じです。

なんか寂しくなります。(夏は弱いのに)

さて、仕事の話です。

先日、私の不注意でブリョ(固定振れ止め)を

壊してしまいました。

(怪我)や(機械・チャック)へのダメージが

なかったのが不幸中の幸いです。

SUS329J1 ピーリング材 φ115x760mm(60Kgほど)の

軸物を550rpmで回してましたから。

材料が定尺の端っこで、

きっちりとチャッキング出来てなくて、

ブリョの芯を出している時に、

チャックから飛び出してしまいました。

外径がテーパー状になっていてチャックの爪に

少ししか当たっていませんでした。

爪の先端のみでチャッキングした状態です。

一度、低回転で様子を見たときは、

振れていなかったので、

「良し」と判断したのが軽率でした。

ワークはチャックから外れて宙に舞い、

旋盤の上で一回転してベットに少し当たって、

私の足元に落ちました。ブリョ(固定振れ止め)は、

ねじ切られました。

下の画像のように割れてしまいました。

190813:01

よく使う道具ですので、即機械屋さんに電話しましたが、

新品はとっくに製造中止で中古もないとのことで、

修理することにしたのですが、どの方法で修理するか

だいぶ迷いました。いろいろな方法が考えられますので。

悩んでる中、来社頂いた方の

「だめもとで溶接してみれば」

との助言を頂き、近くの溶接屋さんに無理を言って

溶接してもらいました。開先を溶接屋さんの

指示どうりに取り溶接して貰いました。

下の画像です。

0813:02

これからが一苦労でした。

溶接の肉をRで取り、組み合わさった時に左右のずれや

傾きを最小限になるように爪のような、

はまり込み部の左右を慎重に削って行きました。

溶接の肉はRで残した方が強度的に強いので

そのようにセーパーで加工しました。

この段取りに相当時間が掛かりました。

同時に爪の横も倒れを見越して削りました。

削り代は勘です。

組んだ時左右のずれや傾きを最小限にし、なおかつはまり込みの

ガタを最小限に持っていくのが理想です。

130813:03 190813:04

相手側はこのような形状でしたので、

180813:05

こちらもR加工しました。もちろんセーパーで加工しました。

180813:06

完成の画像です。ずれも最小限で収まりました。

190813:07

最後になってしまいましたが、このブリョ(固定振れ止め)の

基準面は赤の矢印の部分(リング状)です。

190813:08

ここを証に加工していきました。

数日後、早速使いました。

190813:09

大きな力が掛かると心配なところはありますが、

まず、成功と言っていいと思います。

 

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1963年大阪生まれ。西尾鉄工所代表。旋盤師、伝統技術継承者◎祖父の代から80年続く大阪八尾市の町工場の三代目。「職人道」を極めた先代のもとで、13才から弟子入りし、昔ながらの職人技を叩き込まれ、家業を一人前にこなした。工業高校卒業後、中堅工作機械メーカーに就職。工作機械(機械部品を産み出す母なる機械。マザーマシンとも呼ばれる)の構造を隈なく学び、23才で独立。最先端コンピュータで制御された「NC旋盤」に対し、職人の「技」と「勘」が頼りの「汎用旋盤」(職人の手で動かす旋盤)をこよなく愛し、現在に至るまで、その加工にこだわり続けてきた。数少ない伝統技術継承者の一人。◎若い世代の人材不足、技術伝承に危機感を持ち、2016年「汎用旋盤職人養成講座」をスタート。教材用に独自開発した「汎用フライス盤」は、設計、加工、組立・調整をすべてひとりでやり遂げ、自身の総合技術力の賜物となった。最近、営業下手な職人の殻を破り、SNSを駆使して「基礎の手技」の重要性を次世代へと訴える。また、異業種の職人を対象に、「いぶし銀の会」を立ち上げ、オリジナル製品の企画、開発など「未来の職人像」を探っている。コンピューター依存が加速する製造業の未来を受け入れつつも、「機械の前に人間ありき」と、代々受け継がれてきた職人の技と精神性の伝承に力を注いでいる。◎2014年「八尾市ものづくり達人懸賞」受賞、2015年日刊工業新聞「マイスターに聞く」掲載、「なにわの名工」受賞◎西尾鉄工所ホームページhttps://nishio-tekkousho.jimdo.com/ 西尾鉄工所技術伝承 https://nishio-tekkousyo.jimdo.com/