商標登録、商品やサービスとの関係

商標登録、商品やサービスとの関係

商標とは、商品やサービスに標章(名称やロゴなど)が用いられて初めて完成する取引上の「目印」のことです。

つまり、商標登録を受けるには商品またはサービス(役務といいます)を指定しなければなりません。
商標登録出願ではこの商品または役務を指定するわけですが、現在の商標法では、たとえば商品が種類に応じて45の区分(類)に定義されており、まずはこの区分を指定します。その上で、更に細かくどんな商品に使う商標であるかということを定義します。
土地の権利に例えると、独占できる範囲(領域)を定めるようなものです。

商標とは取引の目印たりうるものなので、商品やサービスが誰のものかを示さないようなものは、登録が認められません。
商品「ビール」に名称「ビール」としたところで、どのメーカーのビールなのかわかりません。「一番搾り」なり「スーパードライ」なり、特徴ある名称であるからこそどのメーカーのビールかを知ることができ、即ち、それが商標であるのです。

果物の「りんご」に「Apple」と表示しても単にそのものを英語で言い換えたにすぎず、生産者などを特定するには及びません。しかしながら、「コンピューター」に「Apple」と表示していたらどうでしょう?そう、あの会社のお洒落なPCだとわかりますね。それが商標です。

「サッカー」を「サッカーボール」などのサッカー用品に用いる場合は商標登録が認められないと思われますが、「食肉」や「肉製品」を指定した商標「サッカー」は登録されます。肉製品などについてサッカーを登録してるのは日本ハム株式会社です。「野球」も商品「ケーキ」について登録されており、こちらの商標権者は株式会社不二家です。この「野球」はなんと大正10年に登録された商標ですです。

商標というと名称やロゴの方にばかり目が行きますが、どんな商品やサービスに使うものなのかということも重要な要素となります。商標登録を検討するときや、面白い商標登録を見つけたときなどには、商品やサービスについても注意を向けてみましょう。

商標登録、商品やサービスとの関係

弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。