向きが違う不具合の対策
向きが違う不具合の対策!!
ある異形材の切断及び後加工をする工場での話だ。
その加工完了品に対する検査作業をずっと見ていた。
最初は検査手順を見直すことで検査指数をアップすることができるのではないかという視点・観点から観察していた。
検査の手順は、完成品を6個手に取って全面(6面)の外観を見て、必要によってバリ取りや汚れを落とすことをしていた。
6個手に取るので、見る面を変えるたびに完成品を持ち替えることをしていた。
この持ち替えがムダだなと思って見ていた。
ずっと見ていると検査を終えた6個の完成品を出荷箱ではなく、その隣に置いてある別の紙箱の中に重ねて置いている。
まだ違う作業をするのかと思いながらさらに見ていると、紙箱に置くものと紙箱には置かずに出荷箱に入れるものがあることに気が付いた。
その違いはなんだろうと思って検査員に聞いてみた。検査員は次のような説明をしてくれた。
「直接出荷箱に入れるものは、エアを掛ける時に6個の向きを確認しているので直接出荷箱に入れています。出荷箱に入れる前に紙箱に一旦置くのは、ここで6個の向きを確認して出荷箱に入れるためです。」
「この製品には方向性があり、その向きを揃えなければなりませんが、最近向きが違うという不具合が出たので品管からの指示でこの検査手順としています。」
ここで初めて向き違いの不良が発生したこと、そして紙箱に一旦製品を6個重ねておくのは不具合対策であることを知った。
ある程度紙箱に製品が溜まると6個重ねたものの向きを確認して出荷箱に入れているのだ。
今日のポイント
この検査作業の流れを読者のみなさんイメージしていただけたであろうか。
この対策は完全に一工数増やしている。検査員は自分の判断で守っていない場合もある。
品管の担当者とはまだ話していないが、発生原因や流出原因の追及が甘い、不十分という印象だ。
品管としては顧客に対して何らかの対策をしたことを報告しなければならないので、検討不十分ながらこのような対応をしたと考えられる。
しかし、この対策については話を聞いた時からわたしには納得感がなかった。検査の責任者も同様の想いがあるようだった。対応のスピードも大事だが、もうひと工夫欲しいところだ。
顧客に対しても今の対策は暫定として、よりよい方法を検討し恒久対策とするとして報告することも可能なはずだ。
補足
購入部材の品質担当をしていたので、不具合に対する原因対策報告書も数多く目を通してきた。
その時のポイントとして、原因を的確につかんでいるかが先ず重要だ。
そして的確に掴んだ原因への対策を実施しているかがポイントとなる。
不具合を発生させない、流出させないために絶対必要なことであれば例え工数がかかってもやることが必要だ。
しかし、安易に工数を増やす対応には見直しを求めていた。
不具合対策で仕入先の工数が増えても購入価格が高くなることはないが、仕入先のコストは増大しているわけで将来のコストダウンの余地が減っていることに他ならない。