半導体業界は次世代IVNプロトコルの要求にフルに対応できるか?
平均的な車に搭載される電子機器の量が、車1台の総価値の半分以上を占める段階にまで達しようとしています。
一般的に、中価格帯の車では様々な部分に50~75台の電子制御ユニット(ECU)が搭載されるようになるでしょう。
この数字はわずか10年前に同様な車が利用していた量の約2倍です。しかし、通信インフラも同じペースで発展してきたわけではなく、ネットワークの導入についての苦労が始まった状況に置かれています。
市場調査会社IC Insightsは、カーエレクトロニクス・システム市場が、現在から2019年までに6.5%の年平均成長率(CAGR)を達成すると予測しています。
複雑化に対応した十分な帯域幅の確保は、より効率的かつ大容量の車載ネットワーク(IVN)技術の導入なしでは困難と考えられます。
現在、IVNSの大半は、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)およびローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)プロトコルを利用する傾向がありますが、市場には近い将来に重要な役割を担う可能性がある他の多数の規格も登場しています。
その中で検討すべき主な規格は次のとおりです。
- 可変データレート対応のCAN(CAN FD) – CANと同じコア・アーキテクチャを持ち、後方互換性がありますが8Mbps(1Mbpsの標準CANの8倍)をサポートします。
- FlexRay – このプロトコルは10Mbpsのデータ転送速度を提供します。冗長性およびフォールト・トレランス機構を内蔵し、安全性が重要な自動車用途に最適です。ただし、導入コストと拡張性に問題があります。
- イーサネット – このプロトコルは今後数年にわたり、大規模IVNの実装に対して強固な基盤を持つと考えられます。すでに多くの電気通信およびデータ通信インフラの基盤があり、現在データ転送速度100Mbpsを利用する自動車で使用されています。次世代IVN向けに、次世代1Gbps自動車用イーサネットが設計されており、今後2~3年の間に市場への投入が予定されています。Strategy Analyticsがまとめた予測データによると、2020年までに1年当り合計1.2億のイーサネット・ノードが自動車に導入されると見込まれます。
- メディア指向システム・トランスポート(MOST) – このプロトコルは150Mbpsのデータ転送をサポートしていますが、関連実装コストが比較的高くなります。イーサネット(データ・レートは同等ですが、MOSTよりも費用が安くインストールが簡単)のほうが優勢で、実際上MOSTを凌駕する可能性が高いといえます。
IVN実装への使用が見込まれる高感度半導体デバイスには、電磁干渉(EMI)や静電放電(ESD)などの自動車環境で生じる電気的脅威からの十分な保護が必要です。
オン・セミコンダクターは、自動車メーカやティア1/ティア2サプライ・パートナと協力関係にあり、今後のIVNの展開に対処するために、より高度な保護ソリューションを提供しています。
オン・セミコンダクターの最新のNUPファミリおよびESD保護製品シリーズには、極めて低容量、低クランプの小型パッケージ、最大±30kVのESD保護、およびISOパルスからの余裕度を備えたすべての新製品のNUP2125 CANFD用デュアルライン・バス保護などがあります。
出典:『半導体業界は次世代IVNプロトコルの要求にフルに対応できるか?』オン・セミコンダクター