医療材料標準バーコードの標準化動向

医療材料標準バーコードの標準化動向

毎年増え続ける医療費を抑制するために、情報化や物流の効率化のニーズが急速に高まっている。

厚生労働省は、これに対応した高度情報社会医療情報システム構築推進事業の中で、医療の標準化と電子保存の必要性を説いており、カルテの電子保存については1999年4月に認可された。

一方、医薬品・医療材料データ入力のシステム化、流通の効率化、医事請求業務の効率化と適正化を図るために、コード体系、バーコード表示、EDI環境等の整備が求められていた。

 

日本医療機器産業連合会(旧:日本医療機器関係団体協議会)は、1996年に情報化検討委員会を設置し、医療用具に関わる統一商品コードの設定やバーコード設定に関する基本方針の策定等について検討開始した。

そして、当初は医療機器も含めて標準化検討していたが、より導入効果が期待できる医療材料に限定してガイドラインを作成することになり、1999年3月「医療材料商品コード・バーコード標準化ガイドライン」を作成した。

その後、2006年の第5版追補版まで改訂を重ね、厚生労働省の「医療機器等へのバーコード表示の実施について」の通知により、2009年4月に「医療機器等への標準コード運用マニュアル」を作成した。

GS1-128を採用

日本で使用される医療用具の30%以上が欧米からの輸入品であることから、バーコードの標準化はグローバルな視野から行われた。

米国では、1995年に国防省が調達するすべての医薬品・医療機器材料に統一製品番号UPN(Universal Product Number)のバーコード表示を通知した。

このUPNは、業界標準である米国健康産業バーコード評議会HIBCCが標準化したCode39による表示と、世界標準であるGS1-128による表示のいずれかを選択するようになっている。

 

また、欧州では、1995年に欧州健康産業バーコード評議会EHIBCCが、医薬品・医療機器材料の指定納品ラベルにGS1-128を決定した。

このように、GS1-128が世界的に使用されている現状から判断して、日本でもGS1-128を採用することとなった。

その他のシンボル

GS1-128がスペース上表示できない場合は、GS1 Databar、GS1 Databar Composite、GS1 DataMatrix、QR Codeが使用できる。

手術用鋼製器具については、日本医用機器工業会が2次元シンボルのガイドラインを作成し、DataMatrixとQR Codeをダイレクトマーキングすることになった。

医療材料標準バーコードの表示項目

GS1-128には、多くのアプリケーション識別子が用意されているが、運用マニュアルでは混乱を避けるために次の5つのデータに限定して使用することにし、商品コード、有効期限/使用期限、バッチ番号/ロット番号、またはシリアル番号の3項目を基本とした。

また、表示順序は、上記記載の順序を推奨している。

(1) 商品コード

商品コードは、アプリケーション識別子“01”を使用した14桁のGTINとした。

GTINは、梱包インジケータ1桁とJANコード12桁とチェックデジット1桁で構成される。

梱包インジケータは、パッケージの種類、入数を表示する番号で、“0”が最小包装単位(個装)、“9”は、都度入数が異なる不定貫製品とする。

“1~8”については、商品コードの発行者が自主管理する。

(2)有効期限/使用期限

有効期限/使用期限が設定されている商品は、その有効期限や使用期限を表示する。

アプリケーション識別子は“17”を使用し、期限は年2桁、月2桁、日2桁をYYMMDDの順に並べて6桁の固定長で表示する。

YYは、西暦の下2桁を表示する。

期限にDDが設定されてない場合は、00で省略することができ、その場合は各月の最終日を期限とみなす。

(3)バッチ番号/ロット番号

バッチ番号やロット番号が設定されている商品は、その番号を表示する。

アプリケーション識別子は“10”を使用し、番号は英数字1桁~20桁の可変長で表示する。

また、番号が20桁未満で、後にデータが連結する場合は、区切り文字のFNC1を番号の後に入れる。

(4)シリアル番号

商品のライフタイム全体にわたってメーカが設定した連続番号、またはコード(シリアル番号、追跡番号、連絡管理等のためのID番号)を表示する。

アプリケーション識別子は“21”を使用し、番号は英数字1桁~20桁の可変長で表示する。

また、番号が20桁未満で、後にデータが連結する場合は、区切り文字のFNC1を番号の後に入れる。

(5)数量

梱包された段ボールや中箱等の入数について、当初アプリケーション識別子は“30”を使用して表示することにしていたが、運用マニュアルではパッケージインジケータが“9”の入数が都度異なる場合以外は、表示しないことになった。

数量は1~8桁の可変長で表示し、数量が8桁未満で、後にデータが連結する場合は、区切り文字のFNC1を数量の後に入れる。

(6)その他

各製造会社・輸入業者の裁量で、他のアプリケーション識別子を使用したデータを表示することができる。

しかし、利用者に通知するなど整合性を図るようにする。

▼医療材料 GS1-128

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バーコード表示の実施時期

(1)特定保険医療材料は、平成21年3月以降に製造販売業者から出荷されるものについてはすべて表示する。ただし、現在の表示技術では不可能な整形インプラント製品等は、実現可能な段階から順次対応する。

(2)特定保険医療材料を除く特定保守管理医療機器、および高度管理医療機器については、平成22年3月以降に製造販売業者から出荷されるものについてはすべて表示する。

(3)上記(1)と(2)を除く消耗材料については、平成23年3月以降に製造販売業者から出荷されるものについてはすべて表示する。

(4)対外診断用医薬品については、平成21年3月以降に製造販売業者から出荷されるものについてはすべて表示する。

提供:アイニックス株式会社


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。