優先順位
トヨタの工場も、当然いろいろなトラブルが発生して、後工程へ製品を遅れない場合がある。
復旧に何時間もかかる場合は、すべてのラインを停止させるが、何とか復旧の目処が立つ場合は、ラインを止めずに、綱渡り操業で後工程へ製品を送ることになる。
私はエンジン工場にいたが、設備トラブルなどで後工程である組立ラインへ順調に送れない場合は、どの後工程へ優先的に送るか決められている。
優先順位1……豊田自動織機とかトヨタ車体とかトヨタ関連会社の組立ライン
優先順位2……トヨタ自動車本体の組立ライン
一般の方が考えると、「トヨタは威張っているから、自分の所を大事にするはずだ」と考えられると思う。
しかし実際は上記のような順序になる。
それには次のような理由がある。
同じトヨタ社内の組立ラインをラインストップに追い込んだ場合、同じ社内なので謝るのも簡単にすむ。
しかし、トヨタ以外の会社となると、会社対会社の話となり正式な仁義をきって謝らなければならなくなる。
すなわち、役員同士の話になってしまうからいろいろ面倒になるからだ。
工場勤務になって、その優先順位の事実を知った時、「トヨタもなかなかやるな」と思ったが、その理由を知った時、「なーーんだ。そういう理由からだったのか」と少々がっかりした。