作業標準書は何のため?誰のために作るのか?

作業標準書は何のため?誰のために作るのか?

だいぶ前になりますが、作業標準は立派でもそれが守られていない事例を紹介したことがあります。

 

それは、作業標準書通りにやることが実質的に困難な事例でした。

 

作業標準書通りに作業をやらないのを認めるのは、ルールを守らなくてよいと言っているようなものです。

それが波及して会社全体の規律が緩んできます。

 

では作業標準を作成するのは、なぜなのでしょうか?

決まりごとを守ってもらうことが目的ではありませんね。

 

  • 品質の確保
  • 原価の維持
  • 納期/数量の確保
  • 作業者の安全の確保

 

この4つの目的のための基礎となる標準を作り、それをベースとして作業改善を進めることが、最終の目的です。

 

噛み砕いて言うと、「作業者が迷うことなく楽に仕事ができるようにする。よいものを、効率よく、後工程に迷惑をかけることなく、安全に作業が行えるようにする。」ためのものです。

 

ここで作業標準の必要な要件をおさらいしてみましょう。

 

・作業者が参加して作る

作業者自身が意見を出すなどして作成に参加すると、目的もよく理解されますし、自分で言ったことは守らなくてはと考えます。

 

・現場で実行できて守れる標準とする

実質的に実行が困難では何の意味もありません。

誰でも実行できて、守れる標準にしなくてはなりません。

 

・難しい作業ほど標準化を進める

ばらつく要因のある作業や異常時の処置など問題の発生しやすい作業ほど標準化を進めて、改善都度改訂をしていくことが重要です。

 

・管理項目や管理方法を明確にする

作業する際に管理する項目を明確にする。

加えて管理方法もしっかり決めることが必要です。

 

・品質特性や検査方法も明確にする

守るべき品質特性をちゃんと記載し、加えてその検査方法も明確にします。

 

・過去の不具合経験やその対策を反映させたものとする
過去に起きた不具合への対策がきちんと標準化されることが大事です。

 

・他の標準類との間で整合性をきちんと確認すること

 

・責任と権限が明確になっている

誰がこの作業標準を承認したのか、何か問題が発生した場合の処置・対応の判断は誰がするのかなどしっかり決めておきます。

 

既にわかっていることばかりだと思いますが、復習の意味を込めて今一度思い出してみましょう。

特に、中国では作業標準書の重要さが倍加します。

 

皆さんの工場では、実態とそぐわない作業標準になっていませんか?

また、何年も見直ししないで、放置していませんか?

 

定期的に自己診断することをお勧めしています。

この作業標準は、常に未完成と考えて改善を継続していくことが大切ですね。

 

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/