作り放しの限度見本、見事な見直し!
ある会社の主催で「外観目視検査」に関するセミナーの講師をやってきました。精度を上げるための方法などを話してきました。当然その中には限度見本に関する話も含まれています。
以前関係していた会社でも外観は顧客から厳しく要求されていて、全数外観検査を実施していた。その多くは性能や機能にはあまり影響のないところではあるが、最終ユーザーの目に直接触れるものであるので疎かにはできないところであった。
外観の検査にあたっては、その判断基準を示した限度見本が作られていた。最初にその見本を見た時に感じたのは、「見ずらい、作り直さないとダメだ」ということであった。
問題点としてあったのは、
①いつ作成したものかわからない(かなり時間が経っていることは分かった)
②作成後にメンテナンスが行われた形跡がない(だいぶ汚れたものもあった)
③どこが不良または良品を示しているのかが明示されてなくパッと見ただけではわからない
④不良項目は多くあるがランダムに並べてあり項目別等になっていないなどがあった
これに対して、上記問題点への対応を示し作り直すように依頼した。
今日のポイント
外観検査の場合、検査基準をビジュアル化することが大事だ。検査基準が文字の羅列では検査員は理解するのはかなり難しい。見本や写真、図など視覚的なアシストを加えると検査員の理解が促進され、不良の検出率が高まるのは事実だ。
そんなの当たり前だろと思われている方が大半でしょうが、検査基準がビジュアル化されていない会社は意外と多いのが実態だ。
作り直しの依頼をしてから1ヶ月後にその会社に行って状況を確認した。実は作り直しに関してはあまり期待していなかった。手は付けているだろうけれど、再度の作り直しを指示しなければならないと予想していた。
ところが実際に作り直した限度見本を見ると、こちらの指示した内容がほぼ網羅されており、見事な見本となっていた。これはうれしい予想外であった。
もちろん、細かいところでは修正や追記が必要なところはあったが、全体から見れば大きな問題ではない。
品管の責任者に見本の管理を指示・依頼したのだが、立派に責任を果たして各現場の担当者に指示をしてくれたようだ。
補足
その見本を作りなおした時期からその会社のスタッフの動きが早くなったような気がした。
もう一つきちんと出来た要因を推察すると、ISOの外部審査がほぼ同時期にあったので、それに間に合わせるためとも考えられなくもない。それでも結果が伴っていればよしと考えることにした。