伝達手段|元トヨタマンの目

伝達手段|元トヨタマンの目

1.トヨタ生産方式以前の段階

多数の機械を機種別に配置し、ロット生産を行なっている。

多数の機械を工程系列に直結して、運搬を排除する。

機種別配置を工程別配置にした場合、各機械のMCT(マシンサイクルタイム)がバラバラとなる。

機種別配置の場合、短いMCTの機械は少数で、長いMCTの機械は多数ある。

工程系列に直結する場合、短いMCTの機械が足りなくなる。そのような場合、新たな購入も検討する。

1個流しにトライする。

ポカヨケを工夫し、自主点検、順次点検を工数をかけずにできるようにする。

しかし工程系列に直結できても、短いMCTの機械は、長いMCTの機械が加工している間、待たされることになり、工程のあちこちで滞留が発生する。

すべての機械のMCTを同一にする。そしてすべての機械の加工開始のタイミングを同時にする。そうすれば同じタイミングで加工は終了する。

さらに、すべての機械に同時にワークをセットし、同時に加工を開始する。

これを長大なラインのすべてで繰り返せば、MCTに1個がコンスタントに完成することになる。

長大なラインはこのようにしなければ、途中で製品が滞留してしまって思うような製品の完成は望めない。

段取替えで機械を止めなければならない時間を、圧倒的に短縮する。

 

2.トヨタ生産方式

(1)人偏のついた自働化

(2)平準化仕掛け

(3)かんばん運用

(4)生産性評価

(5)目のない少人化

 

この年末・年始に、これらの全体像を絵で表現することにチャレンジした。

まず、これら生産段階のイメージ図を描いてみた。

そして、それぞれの生産段階での「生産リードタイムの長さのグラフ」と「生産数量のグラフ」とを関連づけてみた。

非常に面白い全体図ができた。

 

自分の考えていることを他人に伝えるためには、「文章」「写真」「図」「ポンチ絵(まんが)」「言葉」などいろいろな伝達手段がある。

私はこれらのすべてを駆使して、伝えてみようと思っている。

 

そもそも、「ものづくり」など人間の基本的な行為であり、難しいわけがない。

その「ものづくり」の1つの手法でしかないトヨタ生産方式も、難しいはずがないではないか。

「『他人が分からない』ということは、私の伝え方が稚拙である」という気合で進んでいきたい。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。