今日は東京でセミナーがあった|元トヨタマンの目

今日は東京でセミナーがあった|元トヨタマンの目

今日は東京でセミナーがあった

上り新幹線の車窓から富士山を撮った。

やはり富士山が見えると気分がいい。

今日のセミナーの題目
「最強のトヨタマンを育成するトヨタの企業風土と教育体制・人事評価」

クライアントのご要望で『人事評価』まで言及することにした。

 

トヨタの人事評価までの進化過程は次の通りだ。

 

①機種別配置から工程別配置への転換

②ロット生産から1個流しへの進化

③シングル段取の実現

④ライン化してポカヨケを活用した順次点検、自主点検の実施による不良ゼロ化

⑤ニンベンのついた自働化(不良発生は機械が感知し、機械自らが稼働停止し、あんどんを点灯させ人を呼ぶ)……これにより人が機械を離れることが可能になり、多台持ちを実現させた

⑥生産量が増えれば人を増やし、生産量が減れば人も減らせる工程づくりの推進

⑦組立ラインの平準化仕掛けの効果の全工程への浸透(前工程がロット生産して在庫から組立ラインへ供給していたら意味がない)

⑧生産量に対して適正な要員配置ができたか評価をする(生産能率評価体制)

⑨生産量の増減により増減する製造費目の管理(変動費予算管理体制)

⑩生産能率評価体制と変動費予算管理体制による問題点の明示(前期より赤字なら問題)

⑪標準作業票と違った作業をしていたら問題(このようにトヨタは体制として問題点がクリアーになるようにしてある)

⑫トヨタマン全員に問題点をとりあげさせて、その問題解決をさせる(そのための問題解決手法教育を徹底的に行なう)

⑬以上の体制の上で、トヨタマンの人事評価を行なう。

 

失礼ながら、一般の会社の場合、きちっとした体制を作らず、さらにきちっとした方向性も示せず、すべて「人」になにもかも頼っている場合が多いと思う。

 

人に「地盤固め」をさせるのか、「石垣作り」をさせるのか、「天守閣作り」をさせるのか、それともトヨタのような「問題解決」をさせるのか、はっきりさせなければならない。

その上で、人事評価をしてもらわなくては、トヨタの感覚でいえば、たまったものではない。

人事評価ひとつでも、ここまで順を追って説明しなければ、一般の会社との違いをクリアにできない。

今日のセミナーは、私としては新しい試みだったのでよかったと思う。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。