中小製造業が“潜在ニーズ”を掴むためのちょっと意外な方法

中小製造業が“潜在ニーズ”を掴むためのちょっと意外な方法

新製品企画の際には、必ず「顧客の潜在ニーズ(顧客自身も気づいていないニーズ)を把握せよ」というミッションが生まれますよね?

本記事では、中小製造業が「顧客の潜在ニーズを把握する方法」をご紹介します。

目次

1.潜在ニーズ=顧客自身も気づいていないニーズ

2.“顕在”ニーズから“潜在”ニーズを導く

3.潜在ニーズを導く例

4.まとめ

潜在ニーズ=顧客自身も気づいていないニーズ

潜在ニーズは顧客自身も気づいていてない潜在的なニーズのことなので、当然ながら「潜在ニーズは何ですか?」と顧客に聞いても答えてくれません。

ではどうすればよいのでしょうか?

“顕在”ニーズから“潜在”ニーズを導く

顧客自身が気づいているニーズ(顕在ニーズ)の裏には、必ず潜在的な要望(潜在ニーズ)があります。つまり、顕在ニーズを正しく把握することで、潜在ニーズを導くことができます。

自社に専任の企画担当がおらず、外部リソースの活用も難しい中小製造業にとっては、顕在ニーズすらも把握できていない場合が多いのではないでしょうか。

そこで、中小製造業が顕在ニーズから潜在ニーズを導くための3ステップを紹介します。

  • 顕在ニーズを集める
  • 顕在ニーズをグループ化する
  • なぜを考え、潜在ニーズを導く
図2

顕在ニーズを集める

顕在ニーズ(顧客の声)を集める方法は多くありますが、代表的なものは以下になります。

  • 顧客に直接聞く
  • 失注理由を集める
  • クレーム・質問履歴を集める

これらは特別な方法ではありません。どの会社でも行われている通常業務の中に、顕在ニーズは散らばっています。まずは、散らばっている顕在ニーズを集めることから始めます。

顕在ニーズをグループ化する

顕在ニーズが集まったら、それらを似た種類・項目ごとにまとめていきます。例えば、「機能に関するニーズ」「使い勝手に関するニーズ」といった具合です。

最後に、分類した潜在ニーズに「信頼性」「操作性」などの名前を付ければ、グループ化は完了です。

なぜを考え、潜在ニーズを導く

グループ化した顕在ニーズに対して、「なぜ顧客はそれを望んでいるのか?」を考えます。顕在ニーズ(顧客の声)は最終的な言葉でしかなく、潜在ニーズが出てきた理由がまさに“潜在”ニーズです。

ポイントは、

  • なぜその顕在ニーズが必要なのか?
  • その顕在ニーズを解決する目的は何か?

を考えることです。

潜在ニーズを導く事例

顕在ニーズから潜在ニーズを導く簡単な事例をご紹介します。

例えば、「軸の仕上げ精度を上げてほしい」「軸にもっと防錆性の高い表面処理をしてほしい」という顕在ニーズが集まった場合に、これらを「軸の信頼性」と分類します。

これらの顕在ニーズがなぜ必要かを考えていくと、「安定的に効率よく回転し続ける軸がほしい」という潜在ニーズを導き出すことができます。この潜在ニーズを基に新製品を企画すれば、「より摩擦係数の少ないコーティングを施した軸」「表面に微細な凹凸をつけ、摩擦係数を減らした軸」といったアイディアが出てきます。

まとめ

変化の激しい時代になり、生き残るために以前よりも新しいアイディアが求められる状況になってきました。今回ご紹介した潜在ニーズを導くための方法が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

まずは、顕在ニーズを集めるところから始めてみてください。

 

氏名:井上 創(イノウエ ツクル)

所属:(株)テクノア TECHS事業部 ソリューションサービス部

大手鉄鋼メーカーでの生産技術エンジニアを経て、経営コンサルタントとして多くの企業様の経営改善を行ってきました。

エンジニア時代に、仕入先であった中小製造業様が日々経営に悩まれている姿を目の当たりにし、「将来少しでもお手伝いきれば」と考え、中小企業診断士の勉強を始めました。

エンジニアとしての「現場改善」、コンサルタントとしての「経営改善」の経験を活かして、お客様の経営課題の解決を支援いたします。

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株式会社テクノアは、出荷本数4000社を超える国内トップシェアの中小企業向け生産管理システム『TECHSシリーズ』を開発・販売しているソフトウェア開発企業です。「外洋帆船経営」を標榜し、情報技術【IT文明】の進歩を先取して『人々がより人間らしい、ゆとりと生きがいがある生活』を実現するため、独創的なソフトウェアと付帯サービス【ソフト文化】の開発と提供を通じて社会貢献します。