中国製造業レポート 予想以上に進化していた中国 電動バイクが市民の足に

中国製造業レポート 予想以上に進化していた中国 電動バイクが市民の足に

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 先日、中国上海に出張してきた。初めての訪問だったが、予想以上の発展ぶりに衝撃を受けた。特に驚いたのが「電動バイク(スクーター)」の普及。中国の市民の足と言えば、自転車のイメージが強い。まるで自転車レースかと見紛うばかりの自転車の集団の映像を過去に何度も見たことがある。

 しかし今は自転車に乗っている人は少なく、代わりに電動バイクが市民の足として定着していた。中国で電動バイクは4万5000円程度から買うことができ、それほど高級品ではない。そのため老若男女が皆電動バイクを購入し、日本のママチャリのような役割を電動バイクが担っているのだそうだ。(普通に電動バイクで歩道に乗り上げてきたりする)

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 街中には充電ステーションや修理屋があり、さらにはセグウェイのような一人乗りのパーソナルモビリティに乗っている人も何人か見かけた。日本のバイクはエンジンが主流で、電動バイクはまだ少数だ。一方、中国では自転車から電動バイクに変わり、一気に日本の頭上を飛び越す進化を遂げていた。電動バイクも含め、パーソナルモビリティの分野では日本よりもかなり進んでいる印象だ。

 また電動バイク以外にも、中国の地下鉄はすべて転落防止ドアが整備されていた。空港と市内中心部を結ぶリニアモーターカーも走り、実用化という面では日本を上回っている。「いまの中国はかつてのイメージの中国ではない」今回の訪問で感じた最大の収穫だ。

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 世界の工場として急成長を遂げていること、巨大な軍事力で近隣諸国の脅威となっていること、経済バブルであること、国内では都市部と農村部の格差が広がっていること、日本で爆買をしていることなど、ニュース等でさまざまな情報は入ってくるが、実際の市民生活や産業の様子は実際に行ってみて、触れてみないと分からないものだと痛感した。

 日本の製造業は海外展開が遅れている。特に中小製造業はそれが顕著で、大きな課題とされている。言語や商習慣が異なり、難しいことは重々承知しているが、それに対して取り組んでいる、取り組もうとしているか企業と、そうでない企業には大きな差がある。また、かつての成功体験に縛られ、日本を過剰評価して、「井の中の蛙」になっている人もたまに見かける。
 まずは現地に行って世界を見て欲しい。実情を体験するだけでも大きな収穫がある。私たちが思う以上に海外は進んでいる。そして気づけることがたくさんある。

参考:遥乃陽 diary ※中国の電動バイク事情が詳しく書かれています


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。