中国式金型寿命管理・決まりと実態!!

中国式金型寿命管理・決まりと実態!!

前回は、ある中国企業の工場での金型寿命管理が中国式寿命管理になっていたことを書きました。日本で行われている金型のショット数管理とは、金型の使用があらかじめ設定したショット数に達したら金型をメンテナンスします。

これに対して、中国式寿命管理とは、設定したショット数に達したときは金型を検査して問題あればメンテナンスを行う。しかし、問題がないと判断したらそのまま生産を継続します。次に確認するショット数を設定し、そのショット数になったらまた金型を検査して同じ判断をするというやり方です。

本来のショット数管理に出来栄え管理の要素を加えた方法です。

実際の運用状況はどうなっていたかというと、金型のメンテナンス記録を見ると、バリの発生や、傷が入っているのを作業者の自主検査または品管部の巡回検査で見つけたことで金型のメンテナンスを行っていました。

つまり実質的には、出来栄え管理だけとなっていた訳です。設備が故障すれば修理対応するが、故障していないときに手を打つことはしないのと同じことが金型でも起きていたのです。中国工場は予防保全が苦手なのです。

さらに問題だったのは、会社の決まりではショット数管理は、本来の方法である設定したショット数に達したら自動的にメンテナンスすることになっていたのです。

生産の責任者との打合せで、この中国式寿命管理(ショット数管理)を「おもしろい管理方法をやっていますね」と話をしたら、責任者はそんなことはない、日本のやり方と同じ本来のショット数管理のやり方をすることになっていると言ってきました。

わたしが担当者から実態を確認したと言っても取り合ってくれなかったので、直接担当者に聞いてくれと言って確認してもらってやっと決まりとは違う方法で管理が行われていたことを把握していました。

会社の決まりはあるものの、担当者が勝手にその管理方法を変えていたのです。また、担当者の直属の上司もそれを認めていたのです。

会社の上層部は決まりがあるのだから、その通りに管理しているはずだと勝手に思い込み、確認することを怠っていました。中国人がルールを守らないことは自分たちが一番わかっているはずなのに。

 

出典:中国式金型寿命管理・決まりと実態!!


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/