中国企業でのTPSセミナーでの質問
中国企業で次のような質問を受けた。
「TPSでムダを排除して人や在庫を減らすことは理解できる。
しかし人が要らなくなったら、その人は解雇されると思ってしまいTPSを受け入れないのではないだろうか?」
私の回答
<ムダな作業をさせていた場合>
1人が8時間で100個つくる……会社費用→1人分の人件費で100個できた
<ムダな作業をやめさせた場合>
1人が4時間で100個つくる……会社費用→1人分の人件費で100個できた
とちらも会社費用は変わらない。
「1個流しライン化」「段取り時間短縮」「ニンベンのついた自働化」「かんばん作成」等々この会社にはこれからやらなければならないことが山ほどある。
それをこの作業者の空いた4時間を充てればよい。
発生費用が変わらずに改善要員を確保できるのだから、どんどんムダを排除してラインから人を抜けばよい。(ムダな行為をやめさせるだけだから労働強化にはならない)
抜かれた人も改善活動をやると分かれば恐れないであろう。
改善が進めば競争力がつき、他社との戦いにも勝利し、事業拡大が期待できる。
そうすれば改善要員もほどなくラインへの復帰が可能になる。
そうなれば改善マインドの入った作業者が工場に徐々に増え、彼らが管理監督者になることで更に工場が強くなる。
それに今の中国は日本の高度成長期に酷似していて事業拡大は外部要因からも容易だろう。
また長期雇用を保証すれば、人間は本当に一生懸命やる。
私も終身雇用だったが、会社にこきつかわれた。
そうやって生活していると、忙しい方がやりがいがあってよい、というようになる。
勤務時間8時間、もし閑ならなかなか時間は過ぎない。
閑ほどつらいものはない。
忙しければすぐ時間は過ぎてしまう。
現場作業者もただ何も考えず単調な仕事をしていたら耐えられないと思う。
単調に見える仕事でも、常に頭の中で改善のことを考えながら作業をしてもらうように仕向けるのだ。
みなさん熱心に聞いていただけました。
ある電子メーカーの工場の幹部のみなさんです。
女性が多いのは、工場自体の女性比率が多く、女性がいろいろなラインの責任者になっているためです。