世の中の変化と日本の製造業が抱えている問題点【3】

世の中の変化と日本の製造業が抱えている問題点【3】

先回は世の中の変化として見える部分を書きましたが、今回は見えない市場とモノづくりの変化に付いて書いてみます。

 

しかしここまで述べてきたことだけでは済まされない。

市場そのものが大きく変化しており、その結果モノづくりも変わらざるを得ない状況になっている。

 

作れば売れる時代ではプロダクトアウトの少品種大量生産のモノづくりで十分であった。

当時はQCサークルのような品質向上や能率向上を実現する現場改善活動が生産能力を拡大し、収益向上に大きな成果を生み出した。

 

その後、次第に品種が増えてくるとマーケットインの多品種少量生産に移行した。

その際、顧客を待たせずかつ在庫を増やさないで注文に応えるため、モノづくりはトヨタ生産方式に代表される

売れたモノを短時間で作り補充する生産方式が広まり、生産リードタイムの短縮が進み日本の製造業の評価が高まった。

 

しかしそれにもかかわらず日本では既に多くの中小零細企業が倒産や継承者不足で姿を消している。

 

5Sもムダ取りも十分に行って生き残ってきた高いレベルの工場でも昔のようには売れないし、また売れても儲からないというところが多い。

 

そして現場は日々の生産出荷だけでもかなりギリギリで、現場監督者を中心にかなり追い詰められた状態でやりくりをしている。

 

その結果、これまで一生懸命改善し現場力を高め、日本国内では無敵と思われる実績を上げている企業であっても、当の社長がこのままではダメだと不安を感じていることも多い。

 

Question

日本のモノづくりはトヨタ生産方式に代表される高いレベルの実力を持っています。

それにもかかわらず苦戦を強いられているのも事実です。

なぜだと思いますか?

先回JDパワーの米国自動車初期品質調査のことを書きましたが、詳細は下記サイトをご覧ください。

http://japan.jdpower.com/ja/press-release/2017%20US%20Initial%20Quality%20Study%20%28IQS%29/JP

世の中の変化と日本の製造業が抱えている問題点【3】

◎現場改善No.1コンサルタント。大手自動車メーカーにて、一貫して生産効率改善(IE)を担当し、その改善手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学。帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導、抜群の成績をあげる。 ◎現在、 柿内幸夫技術士事務所の所長 として、自動車、家電、食品、IT関連メーカーなどを指導。「現場で、全社員が一緒に改善する実勢指導」という独自のノウハウで、社長・工場長はもとより、現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日である。 ◎1951年東京生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業、スタンフォード大学修士課程修了、慶応大学にて工学博士号取得。 ◎著書「最強のモノづくり」(御沓佳美 共著)「“KZ法”工場改善」「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「5Sでつくる高収益工場ビデオ」「図解でわかる生産の実務 現場改善」「現場改善入門」「現場の問題解決マニュアル」他多数。平成16年日本経営工学会経営システム賞受賞。工学博士、技術士(経営工学)。