不良率30% 抜取り検査でいいの?
ある会社の中国工場では製品に色を塗る工程がある。単純に1色塗ると言うものではなく、凹凸のあるものに複数の色を正しく配色する必要がある。
それが最終の外観になることもあって難易度は高く、不良も相当数発生している。
不良品は修正作業に回される。ここもかなりの人数をかけて作業をしている。次の工程に行く前の段階でQC検査員が外観検査を行っている。
このQC検査で発見される不良率は何と30%になるとのことであった。
当然QC検査は全数検査をやっていると思っていたのだが、後で確かめると抜取り検査であることがわかった。
これがどういうことが読者のみなさんには察しがついていると思う。
抜き取り検査で30%もの不良が出ると言うことは、抜き取られなかった残りの製品にも同様に30%の不良が含まれているということだ。
今日のポイント
QC検査はやっていても結果として後工程に30%もの不良品を含んだ製品を渡していると言うことになる。この会社の品管部や生産の責任者は検査の目的や意味するところをまったくわかっていない。
不良品を送り込まれた次工程では、検査をせずに製品を投入しているので30%のムダな作業をやることになる。ここでもQC検査員による検査をして次の工程に送り込まれる。
そして最終の組立工程で全数検査をしている。しかし、流れ作業の中に組み込まれた検査なので、その検査精度は疑問があった。
検査にはどのポイントで検査をするかが大事である。すべての工程で全数検査をやれるのであれば考える必要はないが、そこまで工数をかける余裕がないのが実際であろう。
そのときにどこの工程での検査に重点を置くかである。発生する不良率が0.1%の工程ではなく、5%の工程で全数検査をやる必要がある。
補足
かなり極端な例を紹介したが、これは実際にあった話である。残念ながらというか当然というか、この会社では外観不良を顧客に流出している。
検査実施のポイントを押さえれば、不良流出に関しては劇的に変わると思われる。