ロボットビジネス推進協議会の解散に思う。ガラパゴス化の教訓

ロボットビジネス推進協議会の解散に思う。ガラパゴス化の教訓

2016年7月末をもってロボットビジネス推進協議会が解散し、約10年の活動の歴史を終える。早くからロボットビジネスに可能性を見出し、さまざまな提言や環境整備などを行ってきたものがなくなってしまうのは、一抹の寂しさがある。これまで尽力してきた同会には感謝しかない。

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▼解散の理由は、ロボット新戦略にもとづいて2015年に設立されたロボット革命イニシアティブ協議会との業務や会員の重複が多く、それを解消し効率化するためとのこと。確かに、これからロボットビジネスをさらに拡大していくためには、いくつものハードルがある。安全技術の向上、各種規制の見直し、世間一般も含めたロボットへの認知や理解の深化、ビジネス機会の創出とベンチャーの育成など、ロボットが活躍し、人がハッピーになる土壌を整えていかなければならない。その意味では、推進母体を統一し、強力に推進していくことは理にかなっている。ロボット革命イニシアティブ協議会にかかる期待は、今まで以上に大きくなる。

▼いま話題のIoTにも、推進団体がいくつも存在する。経産省や総務省など官を背景とするIoT推進コンソーシアムとロボット革命イニシアティブ協議会、産学が参加する学会から生まれ、ゆるやかな標準を目指すIVI、ビジネス志向で企業同士が連携してできたIoTビジネス共創ラボなど。役割分担や連携も考えていると言うが、全体最適で見ると懸念は残る。意見や行動の多様性があることは良いことだ。ただ、それが小さくまとまり、後に外から来た大きな波に飲み込まれてしまっては意味がない。「ガラパゴス化」の教訓を常に頭の隅に置いておく必要がある。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。