ロット生産からすぐさま脱皮せよ!|元トヨタマンの目

ロット生産からすぐさま脱皮せよ!|元トヨタマンの目

トヨタの機械工程はすべて1個流しだ。例えば1分で1個の製品が出来上がるラインでは、すべての機械が1分で加工が完了するようにして、次々に送っていけばいい。
 
しかし中小の企業では多種少量でそうはいかない。旋盤、フライス盤等々の機械でいろいろな物を造っていかなければならない。ロットで現場へ粗材を投入して、「後は現場でうまくやっておいてくれ」。ロット生産のまま、何の改善も施されず現在に至ってしまっている。
 
こんな会社の技術者・管理者は職務を放棄しているとしかいえない。
 
<職務放棄者がやらねばならぬこと>
①すべての部品の加工工程の流れを一覧表化する
②その流れが多い機械を近接させる
③外段取りの専門家チームをつくり、すべての外段取り実施させるとともに、段取り改善を推進させる
④1個流しにトライする(機械を近接させたのだからやりやすい)
⑤加工作業全体の作業計画を立案し、そのとおり作業者は動けばいいようにする。(要は作業者に次に何を仕掛けようかなどという判断はさせない)
⑥こうすれば作業者の努力度合いを評価できる(逆に言うと、さぼることができなくなる)
 
トヨタ生産方式とは「基準(標準)を決めよ!」ということに尽きる。(その標準と実際との差を問題と認識する。そしてトヨタ式問題解決手法で問題を解決する。トヨタはそのトヨタ式問題解決手法も徹底的に教育する)
 
ロット生産なんかやっていたら標準ができない!
 
標準がなければ、現場はサボる。標準など一朝一夕にできない。すべて標準を土台から作ろうとしない経営者(技術者・管理者)が100%悪い。
 
労使関係が悪いところはすべて原因はここにある。労使関係が悪いのは、極論かもしれないが、トヨタから見ていると100%経営側が悪い。体制を作らずに、人に押し付けている。
 
元トヨタマンの目
 
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。