リーダーには推進力が必要!

リーダーには推進力が必要!

前回、改善の受皿となる人材について書いた。最初に受け皿となる人材はいるのかいないのかを確かめる。いなければそういった人材を作ることから始めなければならないと。

ある会社ではその受け皿となる人材がいなかった。社長もそれはわかっていた。受け皿となる人を入れないとこの先の改善が進まない、つまり会社の業績改善が進まないと社長は考えていた。

景気が悪く会社の業績が厳しい中でも人を切ることはせず、逆に人材を補強する選択をし、受け皿となるべき人材を雇った。その時期にこの判断をできる社長は多くはないであろう。周りの多くの企業は経費を人件費を切り詰めて嵐が去るのを待っている状況であったのだ。

 

その人、入社して気が付いたことをやってくれて、全体としてできていない点、やるべき点をまとめ報告してくれた。ただ会社の事情で当初予定していた部門ではなく、違う部門を任せてその管理と業務改善を進めてもらうことになった。

その部門でやるべきことを洗い出してもらい、その実施の優先順位を打合せして決めるところまでは順調であった。

ところが進めるべき項目が3ヶ月経っても進んでいなかった。そうしているうちに受注が増えだしてそれへの対応で手いっぱいで、改善はまったくの手つかず状態となっていた。

今日のポイント

現場にも詳しく何をすべきかも把握しているのだけれども、それを推し進める推進力が不足していたのだ。

ここでいう推進力とは、関係者を巻き込んで自部門にとって必要なことを進めることで、対人影響力とも言い換えることができる。

改善は自部門だけでできないものもある。生産技術部門にお願いして治工具を設計してもらうことだってある。でも生産技術部門も忙しい。そうしたときに如何にその仕事をやってもらうかが推進力といえる。

 

関係部門に依頼した項目があったが、その進捗はその部門長に任せていた。できていないのを「この部門は何もやってくれないと」という言葉で終わらせてしまっていた。自分がもっと関与できると思うのだが。

他にも他部門にこの依頼した業務の意味づけや重要性を認識してもらい会社として優先させるように働きかけることもできたはずだ。

これは後からわかるのであるが、いっぺんにやれればベストであるが、それを望んで結局は何もできていないのであれば、1つずつでもコツコツとやっていけば、時間が経ったときにその違いは大きなものとなる。

補足

なんかこの1人の力量のせいにしているような内容になってしまったが、言いたいのは、仕事はいかに周りをうまく巻き込んで進めるかが大事であるということと、リーダーとなる人は、それがうまくできる人だということだ。

この会社の場合、全体で意識を共通化することがまだまだできていなくて、会社として改善に取り組む仕組みが不十分で、これからの大きな課題として考えていかなくてはならない。

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/