ラオス人は一人称で「お兄さん」を使います。 | ラオス縫製工場の日常

ラオス人は一人称で「お兄さん」を使います。 | ラオス縫製工場の日常

※当コンテンツはCBC Laoの提供でお届けいたします。

 

日本語で会話する時、自分自身を表す言葉は「わたし」「わたくし」「おれ」「ぼく」などがあります。

ラオス語でも、日本語の「わたし」などに対応する言葉として「コイ」「カーパチャオ」などがあります。

 

でも、ラオス語で「私」を指す「コイ」っていうのは、年齢の異なる人との会話では使われなかったりします。

 

年下の人と話すときには、日本語でいえば自分自身のこと「お兄さんは……」「お姉さんは……」というように言います。

逆に、年上の人と話すときには、自分自身のことは「弟は……」「妹は……」というように使います。

 

ラオス語では「お兄さん⇒アーイ」「お姉さん⇒ウアイ」「弟と妹など年下の人⇒ノン」と言います。

なので、年下の人と話すときには、「アーイ(兄)は……」「ウアイ(姉)は……」のように会話をすることが多いです。

ある意味、ここで上下関係がはっきりします。

 

しかし、どうも私だけでなく日本人は一般的に、年下の人と話すときに、一人称に「アーイ(兄)」「ウアイ(姉)」を使うのが苦手です。

何か物凄く上から目線な感じがして、なじめないです。

なので、多くの日本人は、年下と話すときでも、「コイ(私)」をいつも使っている人がほとんどなような気がします。

※年上の人を話しかけるときに、日本語でいう「◯◯さん」の意味で「アーイ・◯◯」「ウアイ・◯◯」と使い時もあります。こちらの使い方は、日本人でも普通に使っています。

 

縫製工場の職員の中には、10歳以上離れた年下の職員もたくさんいます。

その場合には、自分自身のことを「アーイ(兄は)……」と会話するのが普通というか、ラオス語の文脈では適切なときがあったりします。

特に、その人のために何かするときは、ラオス人なら間違いなく「アーイ(兄)は、〜してあげるよ」みたいな言い方になります。

しかし、日本人は、うまくその部分を表現できないというか、馴染むのが難しいのではないしょうか。

 

この点で、タイ人職員は、完璧ですね。

タイ語で年上のお兄さんあるいはお姉さんという意味で「ピー」という単語があります。

これを名前の前につけます。

「チャリー」という名前の人では、「ピー・チャリー」、「ジョン」という名前の人は「ピー・ジョン」みたいな感じです。

タイ人職員が、年下のラオス人職員と話すときには、チャリーさんは「ピー・チャリーは……。」、ジョンさんは「ピー・ジョンは、……。」というように自分の名前の前に「ピー」をつけて話し始めます。

こういう部分でも、ラオスとタイは、言語だけでなく、文化的にも近いなと感じます。

 

また、日本語の「あなた」の意味で「チャオ」があります。

しかし、年下と人と話すときには、「チャオ(あなた)」ではなく、年下の人を意味する「ノン」を変わりに使うこともあります。

これも日本人では使うのを苦手とする人が多いような気がします(飲食店で若い従業員に話しかけるときには普通に使いますが)。

年下であっても、相手に向かって「ノン(年下)、◯◯してちょうだい」とは工場内ではなかなか言いにくいです。

 

海外の縫製工場では、こんな風にちょっとしたこともいろいろ考えながら仕事をしていたりします。

 

出典:海外ラオスにある小ロットを得意とする縫製工場


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。