ユーザー事例のご紹介~「ITの活用を図る企業の好事例発表」より~
こんにちは。テクノアの古川です。
2018年10月17日、石川県職業能力開発協会様主催のシンポジウムで、「TECHS」ユーザーである、株式会社サンエー精機 取締役営業部長 山本伊智郎様が、『ITの活用を図る企業の好事例発表』と題して登壇されました。
サンエー精機様は、生産管理システム「TECHS-BK」を導入して5年が経過します。今では、そのシステム運用を通じて得られる生産性指標を、自社に合った形で評価・フィードバックし、PDCAサイクルによる改善活動が組織に根付いています。
今回は、シンポジウムで発表された、生産管理システムの導入・業務改善について、ご紹介したいと思います。皆様にも参考にして頂ければ幸いです。
システム導入前の問題
サンエー精機様では、システム導入前に2つの問題がありました。
① 進捗管理
取引先の海外シフトにより量産品が減少しました。多品種少量品へターゲット変更を進める中で、取り扱うアイテムが増え、進捗管理が困難になりました。
② 利益率の低下
材料高騰、受注単価下落によって、経常利益率が低下しました。その結果、売上と仕入のバランスとキャッシュフローが悪化し、借入が増えました。
これらの問題を改善・解決するために、システム導入を決断されました。
システム導入前に行った準備
サンエー精機様では、システムをよりスムーズに導入するために、次の2つの準備を行いました。
① 社内プロセス、組織の改革を目指すための十分な話し合い
データの見える化による経営状況の共有を行い、会社の方向性と社員のベクトルを同じにすることを目指した話し合いを、全員参加型で行いました。
② 経営コンサルタントによる6カ月間の研修
外部の経営コンサルタントが、サンエー精機様の幹部に、経営について6カ月間の研修を行いました。研修終了後、自社の経営分析を行って数値で会社の状況を把握し、経営方針書を作成しました。
システム選定で求めた条件
サンエー精機様は、バーコードによる現場進捗管理ができること、データ抽出や帳票作成・変更が自由にできること、導入実績が多く、評価の高い生産管理システムであることを条件としてシステム選定を進めました。
システム導入効果
十分に準備をして「TECHS-BK」を導入し、次のような業務改善が実現しました。
① 進捗状況の「見える化」
各部署にバーコードリーダを配置し、作業の着手と完了時に作業指示書のバーコードを読み取る運用にしたことで、事務所のパソコンからリアルタイムに進捗状況を把握できるようになりました。
② 目標利益率を達成
経常利益率10%を達成するために、最適な変動費率をシミュレーションしました。毎月の方針説明会で状況を報告し、変動費率を全社員でコントロールすることで、目標利益率を達成しました。
③ 業務効率の改善
EDIによる受注取込により、事務作業時間が79%削減できました。また、バーコード管理により、進捗の確認にかかる時間も93%削減できました。
削減できた時間を、外注先との価格交渉、技術的な打ち合わせのために使えるようになり、業務品質も向上しました。更に、作業実績データの蓄積により、精度の高い見積が可能となったことも副次的な効果です。
④ 経営管理の効率化
受注・売上の分析が容易になったため、戦略的な営業活動ができるようになりました。また、作業者の生産性や製品毎の採算性がわかるようになり、課題が数字で見える化できたことで、改善活動ができるようなりました。
このように、数字として見えるようになったことで、経営管理が効率的になりました。
更なる効率化を目指して
生産性を数値で分析することを継続してきた結果、本来は付加価値の高い仕事をする技術者が、現場の様々な軽作業に時間を割いていることもわかりました。この軽作業を、シルバー人材を起用して行うことを進めていて、現在、全社の生産性は更に10%向上しています。
引き続き、サンエー精機様のさらなる業務改善のお手伝いをさせていただきます。
参考:株式会社サンエー精機
<生産品目>
1.工作機械部品
2.射出成形機部品
3.モーター用シャフト
4.減速機部品(出力軸・ウォーム軸)
5.油圧機器部品
6.ポンプ用シャフト