ポカヨケの機能確認の重要性

ポカヨケの機能確認の重要性

ポカヨケ装置には、検出機構として、ゲージ、リミットスイッチ、光センサーなど各種の機器が使われており、100%信頼がおけるとは限らない。

そこで、これらの故障を予防的に発見し、ポカヨケが正しく作動するためには、ポカヨケ装置の点検が必要で、通常の計測器と同様に次のことを考慮する。

 

1.受入検査

ポカヨケ装置が完成したら、それが現場で100%正しく作動するかどうかを確認する。

そのために、不良品、良品を用意し、不良品がセットされた時には必ず警報を発したり、不良品を排出するように作動し、良品がセットされた時には正常に流れていくということを確認する。

製品のばらつきや環境条件の変化等も考え、人を変えたり、繰り返しを行って、わざとセットの仕方を変えても正しく作動することを確かめるようにする。

 

2.定期検査

ポカヨケ装置の中のパーツが常に製品に当たるとか、リミットスイッチによって検出するように、磨耗部分がある場合、その劣化によって、ポカヨケ装置が機能しなくなることが考えられる。

そこで、一定の間隔でポカヨケ装置の重要箇所を検査して機能を確認する。

この周期は、過去の実績や経験に基づいて設定し、その後のデータにより延長や短縮を検討していく。

また、定期検査を決められたように実行するように、チェックシートへの記録や有効期限ラベルを貼るようにするとよい。

 

3.日常点検

一般には、生産されている製品が良品であることを確認するために、次のようなチェックが行われる。

 

・最初の仕掛品である初物チェック

・最終の仕掛品である終物チェック

・生産の途中における定期間隔による品質チェック

・生産途中の「人の交替」「治具や刃具の交換」「材料ロットの変更」などの各変更時の品質チェック

 

これと同様に、ポカヨケ装置でも生産の開始時や終了時等に、正しく作動するかどうかを確かめることが大切である。

そのため、例えば、マスターを準備し、良品マスターは通過する、不良品マスターは排出されるというように、日常点検として、いつ、誰が、どのように点検するかを決めておく。

 

*実践、現場の管理と改善講座「ポカヨケ」日本規格協会より抜粋

 

P.S.

今年の梅雨末期の大雨で、岐阜県で、水面より低い所を通る道路の、進入禁止の警告灯が作動せず、そのまま進入して亡くなった方がいた。

交差点の信号機や踏切の警報機や遮断機などは、四六時中変化があり、それが衆目にさらされているから、何か不具合があればすぐに判る。

しかしこのような水位警報装置など、数年に1回ほどしか変化はない。

したがって、日常点検が非常に重要になる。

人命がかかっているからだ。

今回、それが作動しなかった原因を徹底的に分析し、2度とこのようなことがないようなきちっとした体制づくりが不可欠だ。

亡くなった方の死を無駄にしないためにも。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。