グローバルでIoTに適した通信環境を構築するには?ボーダフォン阿久津氏

グローバルでIoTに適した通信環境を構築するには?ボーダフォン阿久津氏

IoTは安定した通信の上に成り立つ。しかし電波は各国固有の財産で、通信環境の整備も国によってさまざま。グローバルでIoTを展開する際には、安定した通信環境の確保が重要となる。英・ボーダフォン・グループは、世界規模で広がる通信ネットワークを生かし、グローバルのM2M、IoTの通信環境の構築をサポートしている。日本での取り組みをボーダフォン・グローバル・エンタープライズの阿久津茂郎M2Mカントリーマネージャジャパンに聞いた。

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-御社の日本市場での位置づけは?
ボーダフォンは、モバイルサービスを世界26カ国、固定ブロードバンドを17カ国で展開している。さらに55カ国にパートナー契約を結んだ通信キャリアがあり、地球規模の通信ネットワークを持つ通信会社だ。ボーダフォンUK、German、Indiaなど各国で通信事業を行う現地法人があり、日本では10年からボーダフォン・グローバル・エンタープライズとして事業展開をしている。

世界的なネットワークを生かし、法人企業が国境を超えて行う時のグローバルビジネスの支援を行っている。特にM2M、IoTに力を入れ、M2Mをどう構築するか、利益につなげていくのかといったコンサルティングを手掛けている。

-具体的にどんなことをしているのか?御社を使うメリットは?
法人企業がグローバルでビジネスをする際、苦労するのが、進出各国での通信環境の整備だ。これまでは、日本の通信キャリアの国際ローミングか各国の通信キャリアを使うのが一般的で、通信費が高く、契約や支払い、サポートといったオペレーションがとても大変だった。

それに対し当社は、各国のキャリアとの窓口になり、低コストで通信環境を構築するサービスを提供している。窓口を一本化できるので、契約面での負担を軽減、オペレーション負荷が少なく、各国で最適な通信環境が実現できる。

また世界各国の電波法に適合したハードウエアも提供している。IECやJIS、UL、CE、PSEなどはあくまで主要規格であり、すべての国で使えるわけではない。そこを気にせず、各国独自の規格や法律に抵触するケースが相次いでいる。特にアジアでは国によって異なることが多い。

当社のブランドとして展開する3Gルーター「MachineLink3G」をはじめ、当社のハードウエアの中には70カ国の認証済みのものもある。各国の通信キャリアとも調整済みで、安心してすぐに通信できる。

当社は通信キャリアとして、20年以上にわたってM2Mに取り組んでおり、エンドツーエンドのサービスを提供できる。M2Mの構築、データの活用は経験が大事。当社は企業がグローバルでM2Mを構築する際のサポートを行っている。

-世界での採用実績は?
製造業、自動車などさまざまな業界で、当社のM2M技術は採用されているが、例を挙げれば高圧洗浄機の独・ケルヒャー社は、当社がサポートしている。ビル清掃はテナントの営業時間外に行われるが、そこで使われる彼らの機械をモニタリングし、故障の予防とトラブル時の素早いサポートを支えている。

また韓国のスタートアップの会社は、ゴミ箱にM2M通信モジュールを搭載し、満杯になったゴミ箱だけ回収に向かうというソリューションを開発し、グローバル展開を目指している。このソリューションは、必要なゴミ箱だけを回収すればよくなり、運用の効率化でコスト削減になっている。

このほかにも、世界各国で実績がある。

世界での導入実績はこちら(英語のみ)

-これから日本の企業がM2Mを成功させるには?
M2Mで成功している企業は、多くが社内に専門プロジェクトを立ち上げ、必ずリーダー的な人が責任を持って引っ張っている。日本では経営陣が指示だけ出して、あとは現場任せになることが多い。日本でも経営者がトップダウンで実行する。そうした意識改革が必要だ。

またM2M、IoTのビジネスはデータ量がものをいう。数年前からやっている企業と、これから始める企業では圧倒的な差がある。早く始めるに越したことはない。スピード感が大事だ。

M2Mで日本の製造業が大きく変わる。一歩踏み出せば何か問題が出てきて、見えてくるものがある。日本の製造業は底力がある。見えてきたものから新しい何かを生み出すことができるはずだ。

当社はM2M、IoTにかかるコストをできる限り抑え、日本企業を支えていく。世界に広がるボーダフォンのネットワークを生かし、日本企業のグローバル展開を支援していきたい。

ボーダフォングローバルM2M

出典:オートメーション新聞


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。