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パーマ大佐「森のくまさん」差し止め請求 – 替え歌、パロディどこまでOK? 歌手vs作詞家トラブルも 【知財ニュース拾い読み】

産経WEST – 2017/1/18 – http://www.sankei.com/west/news/170118/wst1701180082-n1.html

big female and male of brown bear (Ursus arctos) playing in winter forest, Europe, Czech republic, motion blur

芸人・パーマ大佐氏の童謡「森のくまさん」のパロディーにより、著作者人格権を侵害されたとして、童謡「森のくまさん」の訳詞者・馬場祥弘氏が、同パロディーが収録されたCDの回収等を求めていることが話題になっています。

日本で誰もが知っている「ある~日~」で始まる童謡「森のくまさん」は、アメリカの古い童謡が元となっており、その歌詞を馬場氏が日本語に翻訳することで作成されたもののようです。

 

童謡「森のくまさん」の歌詞が、アメリカの童謡の元の歌詞を機械的に翻訳した程度のものであれば、馬場氏に権利が発生することはありません。

しかし、一般的に、歌詞の翻訳においては、例えば、言い回しや擬音などに日本の子供がなじみやすいような工夫がなされているはずですので、創作性があると考えられます。

このため、馬場氏には、童謡「森のくまさん」について、著作者人格権のひとつである同一性保持権があると判断できます。

 

同一性保持権とは、著作者の意に反して著作物等の変更、切除その他の改変等を受けることがないように設けられた権利です。

今回、パーマ大佐氏側は、事前に馬場氏に許諾を求めて拒否された経緯があるも関わらず、CDの販売等を行っていますので、このような問題になってしまうことは当然の結果であったように感じられます。

また、記事では、過去にパロディーソングを数多く作成されている嘉門達夫氏の「作詞・作曲家には必ず許可を取っている」とのコメントが紹介されています。

 

やはりパロディーは本家あってのものです。このため、本家に認められてこそ、誰もが気持ちよく「おもしろい」と感じられるパロディー作品となるのではないでしょうか。

 

出典:『パーマ大佐「森のくまさん」差し止め請求 – 替え歌、パロディどこまでOK? 歌手vs作詞家トラブルも 【知財ニュース拾い読み】』(『発明plus〔旧:開発NEXT〕)


弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。