バーコード検証機
バーコード検証の歴史
バーコードシンボルの印刷品質は、バーコードの読取率や誤読率に大きな影響を与える。
したがって、バーコードシンボルの印刷品質を維持することは、バーコードシステムにとって極めて重要なことであり、そのためにはバーコード検証機を欠かすことができない。
バーコードの検証は、かつてはフィルムマスターが中心であったが、バーコードプリンタの普及とバーコード作成ソフトの普及により、バーコードラベルを検証することが増加している。
日本でバーコードの検証が脚光を浴びたのは、セブンイレブンがPOSシステムを導入した頃である。
この頃、JANコードのソースマーキングが急増し、読めないバーコードが頻繁に発生したからである。
当時、バーコードに対する情報が不足していたために、赤色のバーコードや間違ったチェックデジットを付けたバーコードなど、今では考えられないミスが発生した。
また、バーコードの印刷技術も不十分であったために、セブンイレブンに納入するベンダーは、印刷品質を出荷時に確認する必要があったのである。
この頃のバーコード検証の対象は、JANシンボルであり、バーコードシンボルの寸法精度や反射率などの基本的特性であった。
次にバーコード検証機が脚光を浴びたのは、物流標準シンボルITFが標準化された頃である。
ダンボール箱は、表面が凸凹しているためにフレキソ印刷されるのであるが、ここでも、バーコードを印刷の知識不足により印刷品質の低下を招いた。
そして、ITFシンボルの検証が急増した。
次にバーコード検証が脚光を浴びたのは、医療材料業界でGS1-128(UCC/EAN-128)が標準化され、コンビニエンスストアの公共料金振込みにGS1-128が採用された頃である。
GS1-128は、印刷品質の検証ばかりでなく、スターコードの次にFNC1キャラクタがあるか、可変長データの後に区切り文字のFNC1があるかなどのフォーマットも検証の対象になった。
そして、最近では、2次元シンボルの普及に伴いQR Codeの検証も行われるようになった。
バーコードの検証は、フィルムマスターの検証のようにデザイン段階で行われる高精度の寸法測定と、印刷現場やラベル作成現場での毎日行われる印刷グレード評価があり、それぞれに応じた検証機が開発されている。
高精度寸法測定検証機
フィルムマスターや高精度バーコード印刷物を検証するためには、機械的スキャンニングによる検証機が使用され、その測定寸法精度は±2.5μmである。
近年、高解像度のイメージセンサを利用して、スキャンせずに高精度の寸法測定をする検証機も開発されている。
これらの検証機は、エレメント毎の寸法を測定すると共に、反射率の測定、データチェック、フォーマットチェックも行う。
ANSIグレード検証
かつてのバーコード検証は、エレメント幅の寸法測定に重点が置かれていたが、近年は、バーコードリーダで確実に読めることを配慮したANSI規格の検証に変わってきた。
これは、ISO/IEC 15416やJIS-X-0520になり、現在の標準的検証方法となっている。
この検証には、ペンスキャナ、CCDスキャナ、レーザスキャナなどのスキャナが利用される。
スキャナのアナログ出力波形を観察し、最小反射率、最小エッジコントラスト、シンボルコントラスト、モジュレーション、欠陥、デコード許容度を測定し、総合的な印刷品質をグレード表示する。
また、データチェックやフォーマットチェックも行う。
2次元シンボル検証機
2次元シンボルの検証は、スタック型シンボルとマトリックス型シンボルで異なる。
スタック型シンボルの印刷評価は、バーコードシンボルの印刷品質規格ISO/IEC 15416によるシンボルコントラスト、モジュレーション、欠陥、デコード許容度の評価と、産出コードワード、未使用誤り訂正の評価により、総合グレードを等級付けする。
マトリックス型シンボルの印刷評価は、照明と読取位置が決められた環境で、シンボルの高解像度のグレースケールイメージを取得することによって行われる。
シンボルコントラスト、モジュレーション、固定パターン障害のパラメータを測定し等級付けする。
次に、グローバル閾値により2値化イメージを作り出し、デコード、軸非均一性、グリッド非均一性、未使用誤り訂正のパラメータを測定し等級付けする。
更に、それぞれの軸に沿って印刷の太りと細りについても測定される。